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コブやモーグルについて思ったことをダラダラとつづっています。
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初心者がコブを完走できるようになるには」の1~6回目までの記事で、初心者向けのコブの滑り方をご紹介してきましたが、今回はコブ初心者に適したスキー板と、練習に適したコブ斜面について考えてみたいと思います。



◆コブ初心者に適したスキー板
まず、初心者がコブ斜面を低速で滑るのに向いているスキー板を考えてみましょう。

結論から最初に申し上げますと、短くて柔らかい板が適しています。
あと、できれば軽い板。

スキーショップで店員さんに、「コブで滑りやすい板を探している」と伝えると、165cm~175cmの少し長めの板を勧められることが多いようです。

少し長めの板は、すでにコブを滑ることができる中級以上のスキーヤーにとっては良いのですが、初心者にとってはテールが引っかかって回しにくくなってしまいます。

コブをまったく滑れないかたが、とりあえずコブのラインから外れずに滑れるようになることが目標であれば、150cm以下の短い板を使ってみるのが1つの有効な手段ではないかと思います。

150cm以下の短い板を使うことで、長い板を使うより短期間でコブを滑れるようになる可能性は高くなります。
短い板を使ってコブの滑り方のコツがいったんわかってしまえば、いつも使っている 160cm~170cmの板に戻しても、わりとすんなりとコブを滑ることができるのではないかと思います。



●男性の場合
男性のかたであれば、150cmくらいのレディース用スキー板を使ってみるのが良いかと思います。

ただ、コブ練習用に短いレディース用板を購入してしまうのはあまりお勧めしません。
それは、レディース用の短い板で練習して上達し、とりあえずコブのラインを外さずに滑れるようになるという目標を達成してしまったら、その後その板は使わなくなってしまう可能性が高いからです。

貸スキーをレンタルするか、または奥さんや彼女、女友達など短いレディース用スキーを持っている人が身近にいれば、借りて使ってみるのが良いのではないかと思います。

注意点としては、ビンディングの解放値を女性用に低く設定したままだと、コブでぽろぽろと外れてしまうので、解放値は強めに設定しておきましょう。


●女性の場合
女性のかたの場合は、140cm~150cmくらいの短めの板が適しています。

レディース用スキー板が主な選択肢になると思います。
ただ、レディース用スキーであっても整地を滑ることを前提に作られているので、コブでは硬すぎる場合が多くなります。
そのため、体重が軽い女性にとっては、コブ入門用の板として適している板はかなり少ないような気がします。

レディース用の板よりさらにソフトな板を探すとなると、ツインチップのフリースキーモデルを物色してみるのが良いかと思います。
フリースキー用板はサイドカーブが浅いため、比較的柔らかいモデルが多いです。

スキーは一般的にサイドカーブが深い板ほど硬くなる傾向があります。
なぜサイドカーブが深い板は硬いのかというと、サイドカーブが深い板はエッジを立てると板がたわみやすいからです。






サイドカーブが深い板はたわみやすいため、そのぶん硬めに作られています。

いっぽう、サイドカーブが浅い板は、エッジを立ててもあまりたわまないので、そのぶん柔らかく、たわみやすくしてあります。






そんな訳で、サイドカーブが浅いフリースキー用の板はソフトな板が多く、コブでも滑りやすくなります。
また、ツインチップの板であれば、コブで後ろにバックするスイッチバックがやりやすいというオマケもついています。

あと、ビンディングのソールサイズと解放値が合うのであれば、ジュニア用スキーを使ってみるのも良いのではないかと思います。
実際、メーカーによってはレディース用スキーとジュニア用スキーのデザインのみ変えていて、スキーの中身自体はまったく同じなんてこともあったりします。




◆練習するコブ斜面
さて、ここからは練習に適したコブ斜面について考えてみましょう。

コブ初心者にとって理想的なコブの条件は、
-斜度が緩い
-コブが浅い
-コブの間隔が広め
-柔らかい雪質
-コブの溝は縦ではなく横向き
-空いていて他の人を気にせずコブに入れる

などなど注文をあげるといろいろありますよね。

でも、実際のところ初心者の練習に理想的なコブは少なく、行ったスキー場にあるコブを滑ることになってしまいます。
それでも、コブのラインは複数あると思いますので、その中で初心者でも滑りやすいラインを選びましょう。


●モーグラーが作った縦コブは避ける
初心者がコブを完走できるようになるには」で解説した滑り方は、コブの頂点でスキーをクルッと回し、落ち込む部分でずらして減速する滑り方です。
この滑り方と最も相性が悪いのが、モーグラーが作った縦のラインコブです。


縦コブは左右のスペースが狭いため、スキーをずらして減速する部分が非常に狭く、また、コブの間隔も狭いため、通る場所が限定されてしまいます。
また、溝が縦方向のため、溝に落ちた瞬間にスキーが前に走ってすっぽぬけてしまうことが頻発します。

そのため、たとえ緩斜面にできたラインであっても、初心者にとっては非常に難しい形のコブで、滑り始めてすぐにはじき出されてしまいます。

ただ、基礎スキーの上級者でも、「モーグルの縦コブだけは苦手」という人は大勢いるので、縦コブが滑れなくても落ち込む必要はありません。
慌てずに順々にステップアップしていきましよう。

初心者のかたが縦コブを滑る場合の詳細は、「左右非対称のコブとスライド」のページに記載していますので、ご参照ください。



●でき始めのコブを滑る
初心者のかたは、いきなり深いコブから始めるのではなく、でき始めの小さなコブからスタートしてみるのをお勧めします。
コブだかコブじゃないのかわからないような状態の斜面から始めると、コブに慣れる良いとっかかりになるのではないかと思います。

よく整地斜面の端にコブのラインができますよね。
このコブのライン作成に参加してみるのも1つの手段です。


最初はフラットな斜面から滑り始めて、本数を重ねるごとに少しずつコブらしくなり、数時間後には立派なコブのラインができあがります。
このようなコブができていく過程を体験することは、整地の滑りとコブの滑りをリンクして理解する良い機会です。
スキーをずらす場所や、切り替えを行う部分など、コブのどの部分が整地ターンのどの局面に該当するのかがわかってきます。

また、本数を重ねるごとにコブが少しずつ大きくなっていくので、簡単な小さなコブから徐々に難しい大きなコブにステップアップする過程を体験することができます。
クリアしていくごとに難易度が高くなっていくので、練習には最適ではないかと思います。

ただ、整地斜面は毎日圧雪車で踏み固められているため、そこにできるコブはかなり硬くなります。
そのため、午後になってコブが深く成長すると、初心者には手におえないラインになってしまいます。
ですので、コブのでき始めからコブが深くなってしまう前までの数時間くらいが、初心者の練習に適した時間帯と言えるのかもしれません。

あと注意点としては、モーグラーが彫っているコブは、コブとコブの間隔が狭い細かいコブになるので、初心者には難しくてお勧めできません。
基礎スキーヤーが作っている、ゆったりとした前後左右に幅のあるコブのライン作成に参加するのが良いのではないかと思います。



●残雪期がねらい目
私のようなスキーバカは、毎年、雪が無くなるゴールデンウィーク頃までしつこく滑ります。
いっぽうコブ初心者は、3月も終盤になって春らしくなってくれば、そこで滑り納めにするかたが多いのではないでしょうか。
このような季節感と節度のあるスキーライフだと、コブを滑れるようになる絶好の季節を逃してしまうことになります。

コブを滑れるようになる絶好の期間は、3月半ば以降の残雪期です。

この季節は溶けたグザグサの雪質が多いため、滑走性が極めて悪くスキーが走りません。
そのため、コブのラインからはじき出されてしまうことは少なくなります。

また、湿って柔らかい雪なのですぐにコブができ、普段はコブができないような緩斜面にもコブができます。

それに、雪が柔らかいので、転んでもそれほど痛くありません。

ただ、残雪期に練習して、ついにコブを滑れるようになったと喜んでいると、次のシーズンに硬い雪質のコブにまったく歯が立たなくて、「こんなはずじゃなかったのに…」と自信喪失してしまうこともあります。

それでも、コブを滑れるようになるきっかけをつかむことができたというのは非常に大きな進歩です。
残雪期はそのきっかけをつかむ絶好のチャンスだと思います。


おわり


◆目次はこちら











◆関連記事
●初心者がコブを完走できるようになるには (その1) - どこを通る?

●初心者がコブを完走できるようになるには (その2) – フォールライン方向にずらす

●初心者がコブを完走できるようになるには (その3)- 上体をフォールライン方向にキープ

●初心者がコブを完走できるようになるには (その4)- 脚のかまえ

●初心者がコブを完走できるようになるには (その5)- それではコブを滑ってみよう・前編

●初心者がコブを完走できるようになるには (その6)- それではコブを滑ってみよう・後編




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目次
INDEX

下の各項目からもご覧いただけます
コブの滑り方
■ 脚は少し曲げておく
■ 目線は重要
■ かかと加重を重視
■ スタンスと前後差
■ 基礎スキーヤーがモーグル的に滑るには
■ 吸収動作を長くキープ
■ モーグルのストックワーク (1)
■ モーグルのストックワーク (2)
■ モーグルのストックワーク (3)
■ スイッチバック
■ 背筋を伸ばす
■ 秘技!! スライド&ジャンプ
■ 吸収動作が必要なわけ
■ 吸収動作によるスピードアップ
■ 1つの動作で吸収と先落としをする
■ 吸収はヒザを意識する
■ 吸収動作による前後のバランスの調整
■ 吸収を行わない滑り方
■ 肩の逆ローテーション
■ ダブルストック
■ 縦の溝コブで減速
■ コブの溝でスキーをたわませる
■スキーの先落としと関節の動き
■吸収と伸ばしのタイミング
■ 足首の角度とポジションの関係
■ 左右非対称のコブとスライド
■ レベルによるストックワークの違い
■ スキーの先落しの角度とスピードコントロール
■ 静かなストックワーク
■ ボール状の凹みを通るライン
■ 外側の肩を下げる動きについて
■ スキーの縦の動きと練習について
■ コブ初心者 (1) どこを通る?
■ コブ初心者 (2) フォールライン方向にずらす
■ コブ初心者 (3) 上体をフォールライン方向にキープ
■ コブ初心者 (4) 脚のかまえ
■ コブ初心者 (5) それではコブを滑ってみよう・前編
■ コブ初心者 (6) それではコブを滑ってみよう・後編
■ コブ初心者 (7) スキー板と練習するコブ斜面
■ 春の巨大コブを省エネで滑る方法
■ 滑り方によって変化する谷回りと山回り
■ コブ中級者への道 (1) プロペラと逆ひねり
■ コブでおじぎを防ぐには
■ コブ中級者への道 (2) スライドする方向を変える
■ コブ中級者への道 (3) コブでスキーが開いちゃう
■ 上体を前に移動させる
■ コブ頂点のポジション
■ 基本ポジション
■ コブの滑り方で変わる前傾角度
■ 腰と下っ腹の意識
■ 先落としにトライしてみよう Part 1
■ 先落としにトライしてみよう Part 2
■ コブの衝撃に強いポジション Part 1
■ コブの衝撃に強いポジション Part 2
■ 腕の構え
■ コブで動きを止めない滑り Part1
■ コブで動きを止めない滑り Part2
■ ストックワークと腕の動き
■ コブに乗り上げていくところの脚の動き
■ コブを片足で滑ってみる
■ 重心とスキーの回転
■ パウダーとコブの共通点 Part 1
■ パウダーとコブの共通点 Part 2
■ スキーのたわみでコブから受ける衝撃をやわらげる
■ 負の連鎖 Part 1
■ 負の連鎖 Part 2
■ 負の連鎖 Part 3
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