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コブやモーグルについて思ったことをダラダラとつづっています。
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さて、今回はターン外側の肩を下げていく動きについて考えてみたいと思います。

コブや整地を問わず、ターン中盤から後半で外側の肩を下げていく動きを、多くのスキーヤーが意識して行っていると思います。

外側の肩を下げていくことを意識することで、外スキーにしっかり加重しながら、なおかつ次のターンに入りやすいポジションをつくることができます。

さらに、この動きがモーグルの滑り方ではターンの始動を早くしたり、コブから受けるショックをやわらげる効果もあります。


◆外傾姿勢のメリット
まず初めに、外側の肩を下げることのメリットについておおざっぱに考えてみましょう。

説明をシンプルにするために整地の滑りで見ていきますね。

外側の肩を下げる」動きは、外傾姿勢を作る動きになりますが、他にも「くの字をつくる」、「体の軸をしならせる(弓なりにする)」などの表現がよく使われますよね。
表現は変わっても外傾姿勢を作るという目的は同じになります。
各々で最もしっくりくるイメージで滑ればOKだと思います。






外傾姿勢をつくることの長所は、主に「バランスを崩しにくいポジション」、「強いエッジング」、「次のターンに入りやすいポジション」の3つがあるかと思います。

この3つを簡単に見ていきましょう。

バランスを崩しにくいポジション
ターン後半の山回りは、スキーに落下圧力や遠心力がかかるので、スキーが予想以上にずれてしまうことが多い局面です。  
このとき、外側の肩を下げて外傾姿勢をとることで、スキーがずれてしまった場合でも、体勢を大きく崩さずにズレにのっていけるポジションになります。



外傾姿勢ができていないと、ターン内側に傾きすぎたり、スキーが予想以上にずれてしまってしまった場合は、内側にバランスを崩してしまいます。



強いエッジングが可能
外側の肩を下げて外傾姿勢をつくることにより、体の中心軸に対して上体は外側に位置するようになります。
その結果、上体の反対側にある腰(お尻)は軸に対して内側に位置するようになるため、スキーのエッジが立ちやすくなり、強いエッジングが可能になります。





また、外傾姿勢をとることで外スキーに加重しやすくなるのも、強いエッジングが可能になる理由の1つです。


※もちろん、外傾姿勢によるデメリットもあるので、状況に応じた使い分けは必要になります。

次のターンに入りやすいポジション
ターン前半の谷回りの段階では、ターンの内側に軸を倒していきますが、ターン中盤から切り替えにかけての山回りでは、内側に倒した軸を元に戻していく動きが必要になってきます。



そして、ターン終盤から切り替えにかけて、内側に倒れていた軸はもとにもどり、次のターンに入っていく段階で、前のターンとは反対側に軸が倒れていきます。

このターン中盤から切り替えにかけてで、外側の肩を下げて外傾姿勢をとることによって、内側に倒れた軸はもとにもどって行き、次のターンに入りやすいポジションをとることができます。


外傾姿勢をとらずにターン終盤でも内側に上体が倒れていると、切り替えの時に次のターンに入るのが難しくなってしまいます。




これらの外傾姿勢によるメリットは、整地だけでなくコブでも同じため、コブを滑るときでも必要な動きになります。



◆ターンによって異なる肩のラインの傾き
外傾の大きさは、ターン中盤(ターンマキシマム)で左右両方の肩をむすんだ肩のラインの傾きがだいたいの目安になります。

外傾が小さいと肩のラインは内側に傾いています。



外傾が大きい場合は肩のラインは水平に近くなります。



外傾の大きさの尺度となる肩のラインですが、ロングターンとショートターンの違いや、ターンの横のスペースの大小によっても変わってきます。

まず、ロングターンとショートターンの場合を見てみましょう。
ロングターンでは体の軸が大きく内側に倒れるため、外傾姿勢をとっていても肩のラインはまだ内側に傾いています。



いっぽう、ショートターンでは、軸はあまり倒れないのと、次のターンに早く入るため、肩のラインはほぼ水平になります。




次に横のスペースの大小について見ていきましょう。

横のターンスペースを大きくとった滑り方では、軸が内側に大きく倒れるため、肩のラインは内側に傾きます。


いっぽう、横のスペースが小さいターンでは、軸があまり傾かないので、肩のラインは水平になります。 







◆コブ斜面での肩のライン
ここからは上記のロジックをふまえて、コブ斜面にあてはめて考えてみましょう。

コブではショートターンで滑ることになり、なおかつ左右のターンスペースが小さくなります。
つまり、肩のラインは水平が適していることになります。

コブではリカバリーの連続になることが多いので、積極的に体の軸を倒して滑るより、軸はあまり倒さずに、肩のラインは水平を保ったほうが安定します。

また、整地ではスキーに対してどのように体を移動していくかが重要になりますが、コブでは体の位置はあまり動かさずに、体を中心としてスキーを動かすことになります。
つまり、コブでは中心となる体はあまり動していかないため、軸はあまり倒さず肩のラインは水平に保つのが一般的な滑り方になります。





コブでもちょっと例外的なのがバンクラインを通る滑り方です。
コブの外側のバンクを通る場合は、横のターンスペースが大きくなるのと、バンクの面がターン内側に傾いているため、体の軸を倒した滑り方になります。
また、バンクラインを滑るのに適したコブは一般的なコブよりピッチが広めになり、ミドルターン寄りのショートターンになることが多いです。
そのため、ターンの中盤、外傾姿勢をとっていても肩のラインは内側に下がるようになります。




バンクラインの滑り方以外にも、もう1つ肩のラインが例外的になる場合がある滑り方があります。
それは、コブを縦に滑るモーグルの滑り方です。



◆モーグルでは肩のラインが少し外側にかたむく
モーグルの滑り方はショートターンで、なおかつ横のスペースが非常に狭い滑り方になります。
そのため、上記の理屈に当てはめると肩のラインは水平が適していることになります。

ただ、モーグルの場合は横のターンスペースがきわめて小さく、切り替えが速くなります。
そのため、肩のラインは水平を通り越して、少し外側に傾く位が適している場合が多くなるのではないかと思います。
つまり、ターン外側の肩を内側の肩より下げていく動きになります。




外側の肩を下げていく動きは、一般的にはターン中盤からになりますが、モーグルの場合は、ターン前半から下げていった方が良いと思います。
これにより、ターン前半から外スキーに加重できる強いポジションを作ることができます。

また、ターン前半のコブの落ちこむ部分の傾斜はターン外側にかたむいています。
そのため、内脚には加重しやすいのですが、外脚には加重しにくい斜面の角度となります。
肩のラインを外側に下げることで、外側にかたむいている斜面でも、外脚にも加重しやすいポジションをとることができます。



コブの受ける部分ではスキーにかかる圧力は強まるのですが、その反対に、コブの落ちこむ部分ではスキーにかかる圧力は弱くなり、スピードを出すとスキーが雪面から浮いてしまうことが多くなります。
このスキーにかかる圧力が弱くなる局面でもできるかぎり接雪して加重できるようにすることで、スキーが浮いてしまいがちなコブが落ちこむ部分でもターン操作が可能になります。

コブの落ちこむ部分は、フォールライン方向に下に落ちこんでいて、なおかつターン外側の横方向にも落ちこんでいるので、斜め下外側方向に傾斜しています。


フォールライン方向に落ちこむ角度に対しては、ご存じのとおりスキーの先落しにより接雪することが可能になります。
いっぽう、ターン外側の横方向に落ちこむ角度に対しては、肩のラインを外側に下げていくことで、上体や腰を外側に落ちこむ斜面に合わせて接雪して加重しやすいポジションを維持することができます。


一般的にはコブでは肩のラインは水平に保ち、両肩と両腰のラインを結んだ上体の長方形のポジションは崩さず滑ることが推奨されています。
ですが、コブの落ちこむ斜面の傾斜に合わせて接雪と加重しやすいポジションをキープするためには、外肩を下げて意図的に肩の水平ラインや上体の長方形を崩すことは、それほど不自然なことではないのではないかと思います。







注意点としては、外側の肩を下げる際にも背骨は横に曲げずにまっすぐに保つということです。

外傾姿勢をとる場合、ターン外側のわき腹をしぼって縮めるような意識で滑っているスキーヤーが多いかと思います。
モーグルの滑り方では、わき腹を縮める動きで背骨を横に曲げてしまうと、コブにのりあげるときに受ける衝撃に対して弱いポジションになってしまいます。



また、背骨が横に曲がってしまうと、上体の左右の角度は垂直より外側にかたむいてしまい、外側にバランスを崩してしまうことが多くなってしまいます。




イメージとしては外側の肩を下げた際に、外肩から股関節にかけての体幹外側にまっすぐの加重ラインができる意識を持つと良いのではないかと思います。




外側の肩を下げていても、上体の加重ラインの左右の角度は垂直をキープすることにより、外脚にもしっかり加重でき、なおかつ外側にバランスを崩すことは少なくなります。




◆肩のラインを切り替えてコブからの衝撃を抜く
肩のラインを外側に下げる動きを切り替えることで、コブから受ける衝撃をやわらげることができます。

コブに乗り上げて越えていくときの、肩のラインの変化を見てみましょう。


1.肩のラインをターン外側に下げます。
このとき外脚側に加重ラインがあるポジションになります。
もちろん、すべての体重を外脚1本にのせているのではなく、内脚にも加重していますが、内脚より外脚により多く加重している状態になります。
この外脚側の加重ラインは、コブの受ける部分後半までキープします。
下の写真はコブにぶつかる直前で、加重ラインは右脚側にあります。
コブの受ける部分にぶつかり、右脚から右肩にかけての加重ラインにコブからの衝撃を受けます。



2.コブの頂上に乗り上げる際に、下げていた外肩を上げて、反対側の内肩を下げていきます。
下の写真はコブの頂上でターンの切り替えの場面です。
加重ラインは、右側→体の中央(ニュートラル)→左側へと移動していきます。
肩のラインを切り替えることにより加重ラインは内側(次のターン外側)へ移動し、右脚の加重は抜けます。
これにより右側の加重ラインに受けた衝撃を逃がすことができます。



3.コブの頂上を越え、落ちこむ部分にさしかかったところで、スキーのトップを下げます。
肩のラインを次のターン外側に下げ、外側に加重ラインができるようにします。
先落しが完了したらすぐに外スキーでしっかりエッジングできるポジションができあがります。



このように、肩のラインを切り替えて外側にあった加重を抜く動きにより、外脚の加重ラインにコブから受けた衝撃を横に受け流すことができます。
その結果、コブから受ける衝撃は少なくなります。


また、コブの受ける部分の角度はターン内側方向に傾いているのも、この外脚側の加重ラインに受けた衝撃を横に抜く動作が有効な理由です。








このコブからの衝撃を抜く部分を上からも見てみましょう。





コブの衝撃をやわらげる動きは、脚を曲げる吸収動作が一般的ですが、この衝撃を横に抜く方法もかなり効果的なので、使ってみてはいかがでしょうか。

脚を曲げる吸収動作のの動きと、ここでご紹介している衝撃を受け流すの動きを組み合わせることで、より効率的にコブから受ける衝撃を軽減させることができると思います。



◆肩を下げる動きに前後の動きを加えてみる
このターン外肩を下げていく動作に加え、肩の前後の動きをミックスしてみると、さらに上体を能動的に使うことができるのではないかと思います。





肩の前後の動きについては、こちらのページをご参照ください。

上体は動いていないように見えるモーグルの滑り方ですが、このような見かけではほとんどわからない小さな動きが、わりと大きな効果を生み出すのではないかと思います。



◆ターンの切り替えにも有効
下げる肩を切り替える動作は、ターンの切り替えにも役立ちます。
ターン切り替え時に次のターンの外肩を下げていくことでターンの切り替えが可能になります。





整地をボーゲンで滑ってみることによって、この切り替えの動きを簡単に体感することができます。
肩を下げた方の脚に加重することになるので、下げる肩を入れ替えることがターンの切り替えにつながります。








◆基礎スキーヤーにもおすすめ
このように、コブ斜面で肩のラインを外側に下げ、そのラインを切り替えていく動作は、加重(エッジング)、コブから受ける衝撃の緩和、速い切り替えなど、ターンの各局面において有効な動きになります。

また、この動きはストックワークなどの体の使い方に連動して、滑りの流れの中に自然に表れるものでもあります。

肩のラインを水平に保つ一般的に正しいとされているコブの滑り方とは異なっているので、基本を大切にする基礎スキーヤーには抵抗がある滑り方かもしれませんが、試してみる価値はあるのではないかと思います。





◆踏みかえ動作の是非
この下げる肩を入れ替える動作によるターンの切り替えですが、外脚から次のターンの外脚に踏みかえる動作につながります。

コブ斜面のためストレッチングではなくベンディングによる切り替えなので、踏みかえる動きは目立ちませんが、加重ラインはターン外脚から次のターン外脚へと移動することになります。

この外脚から外脚に踏みかえる動作ですが、カービングスキーが登場する以前の、長いズン胴スキーだった頃の整地のスキー操作に近い気がします。
いわゆる交互操作で、昔、ステンマルクやジラルデリが現役だった頃の時代に一般的だった滑り方ですね。
その頃は、基礎スキーでも交互操作が主流でした。






ターンの切り替えで外脚から外脚に踏みかえる交互操作は、とっつきやすいので現在でも多くのスキーヤーが整地の滑りで使っています。
ですが、この切り替えで踏みかえる動きをすることにより、その後のターン局面で外脚と内脚が同調せずに別々の動きになってしまい、カービングスキーの性能を十分に生かしきれない滑り方になってしまうと思います。
(注:斜面状況やスキーヤーのレベルによっては、整地でも交互操作が有効な場合もあります)



私は整地の滑り方では、ターン切り替え時に外スキーのインエッジが次のターンの内スキーアウトエッジに接雪しながら切り変わる動きと、それが可能なポジションが非常に重要だと考えています。
切り替えでこの動きが正確にできたときは、その後のターンで外スキーと内スキーの動きが同調できているように思います。

ですが、上記のようにモーグルの滑り方で下げる肩を入れ替える動作を行うと、交互操作に近い動きになってしまい、整地で効率的と考えている滑り方とは異なってしまいます。
そのいっぽうで、強いポジションが作れたり、コブから受ける衝撃を抜くことができたりなど、そのメリットはかなり大きいことも感じています。

この点については、コブを直線的に滑るモーグルの特殊性と考えるか、または、交互操作をなくしていく方向に改善の余地があるのか、今後の課題にしたいと思っています。


おわり


◆目次はこちら












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目次
INDEX

下の各項目からもご覧いただけます
コブの滑り方
■ 脚は少し曲げておく
■ 目線は重要
■ かかと加重を重視
■ スタンスと前後差
■ 基礎スキーヤーがモーグル的に滑るには
■ 吸収動作を長くキープ
■ モーグルのストックワーク (1)
■ モーグルのストックワーク (2)
■ モーグルのストックワーク (3)
■ スイッチバック
■ 背筋を伸ばす
■ 秘技!! スライド&ジャンプ
■ 吸収動作が必要なわけ
■ 吸収動作によるスピードアップ
■ 1つの動作で吸収と先落としをする
■ 吸収はヒザを意識する
■ 吸収動作による前後のバランスの調整
■ 吸収を行わない滑り方
■ 肩の逆ローテーション
■ ダブルストック
■ 縦の溝コブで減速
■ コブの溝でスキーをたわませる
■スキーの先落としと関節の動き
■吸収と伸ばしのタイミング
■ 足首の角度とポジションの関係
■ 左右非対称のコブとスライド
■ レベルによるストックワークの違い
■ スキーの先落しの角度とスピードコントロール
■ 静かなストックワーク
■ ボール状の凹みを通るライン
■ 外側の肩を下げる動きについて
■ スキーの縦の動きと練習について
■ コブ初心者 (1) どこを通る?
■ コブ初心者 (2) フォールライン方向にずらす
■ コブ初心者 (3) 上体をフォールライン方向にキープ
■ コブ初心者 (4) 脚のかまえ
■ コブ初心者 (5) それではコブを滑ってみよう・前編
■ コブ初心者 (6) それではコブを滑ってみよう・後編
■ コブ初心者 (7) スキー板と練習するコブ斜面
■ 春の巨大コブを省エネで滑る方法
■ 滑り方によって変化する谷回りと山回り
■ コブ中級者への道 (1) プロペラと逆ひねり
■ コブでおじぎを防ぐには
■ コブ中級者への道 (2) スライドする方向を変える
■ コブ中級者への道 (3) コブでスキーが開いちゃう
■ 上体を前に移動させる
■ コブ頂点のポジション
■ 基本ポジション
■ コブの滑り方で変わる前傾角度
■ 腰と下っ腹の意識
■ 先落としにトライしてみよう Part 1
■ 先落としにトライしてみよう Part 2
■ コブの衝撃に強いポジション Part 1
■ コブの衝撃に強いポジション Part 2
■ 腕の構え
■ コブで動きを止めない滑り Part1
■ コブで動きを止めない滑り Part2
■ ストックワークと腕の動き
■ コブに乗り上げていくところの脚の動き
■ コブを片足で滑ってみる
■ 重心とスキーの回転
■ パウダーとコブの共通点 Part 1
■ パウダーとコブの共通点 Part 2
■ スキーのたわみでコブから受ける衝撃をやわらげる
■ 負の連鎖 Part 1
■ 負の連鎖 Part 2
■ 負の連鎖 Part 3
■ 負の連鎖 Part 4
■ テールジャンプ Part 1
■ テールジャンプ Part 2
■ テールジャンプ Part 3
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