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コブやモーグルについて思ったことをダラダラとつづっています。





以前の記事で、コブ2~3個ですぐにラインからはじき出されてしまう初心者が、どのようにすればコブを通して滑れるようになるのかといった内容を、全7回の続きものとして書いてみました。

すると、それを読んでくれた方々からメールをいただいたのですが、その中の何人かの方々から「まだ初級くらいのレベルですがコブは滑れるので、その先の滑り方の記事も期待してます」みたいな内容のメールをいただきました。

というわけで、コブを少し滑れるようになったコブ初級者がコブ中級者に上達していく過程や滑り方について、考えてみたことを今後少しずつ書いていこうかと思っています。


誰しもコブがまったくダメだった頃は、コブのラインを通して滑れるようになることが目標だったと思います。
ゆっくりでもコブを通して滑れるようになったら、これで目標達成で終わりではなく、ここからが楽しいコブコブライフの本当のスタートです。

どんなかたちにせよコブを滑ることができれば、そこからさらに難しい滑り方や、いろいろなライン取りにトライすることができるようになります。
このコブ初級者の段階では滑れば滑るほど新たな発見があり、スキーに行くたび上達していることを実感できます。

こうなるとコブが楽しくて楽しくてしょうがなくなり 「なんで今までコブを食わず嫌いしてたんだろう」 と後悔半分、嬉しさ半分な気持ちになったりします。


さてさて、「コブ中級者への道」第1回目の今回は、プロペラの練習と上体の逆ひねりについて書いてみますね。


※ここに記載しているのは、コブを低速で滑れるようになったくらいのコブ初級者向けの内容です。そのため、既にコブを上手に滑ることができる中級者や上級者には当てはまらない内容も含んでいます。この点はあらかじめご了承ください。





◆プロペラの練習がおすすめ
コブの上達に即効性のある練習方法として、ぜひともおすすめしたいのがプロペラです。

私はスキーを始めてまもない初級者の頃にプロペラの練習をしてみたところ、コブで転ぶ回数が激減してビックリしました。
たぶん、プロペラを練習したことで同じような経験をされたスキーヤーも多いのではないかと思います。

なぜこの練習がコブに効果的なのかと言うと、プロペラの動作には普通に滑っていてもなかなか身に付きにくい大きく体をひねる動きが含まれているからです。
多くのコブ初級者はこのひねる動きが十分ではなく、これが原因でコースアウトしてしまったり、転んでしまったりしています。

既にコブをスイスイと滑ることができる中級以上のスキーヤーはこの体をひねる動きができていると思うので、プロペラを練習しても目覚ましい効果は感じられないかもしれません。
でも、コブを少し滑ることができるようになった初級くらいの段階ではひねりが少なく、上体がローテーションしてしまっていることがとても多いので、これを防ぐための有効な練習法ではないかと思います。



◆プロペラの練習法
プロペラとは、ジャンプしてスキーを大きく左右に振り回す練習方です。


スキーを横に振る角度が大きくなるほど難しくなりますが、そのぶん練習の効果も上がります。


コブ中級者くらいのかたであれば問題なくできると思いますが、コブ初級者にとっては簡単なように見えて、やってみるとわりと難しいことがわかるのではないでしょうか。

上体を安定させたままスキーを左右に振り回す操作は、スキーに乗る位置やひねり動作などが正確に、なおかつ効率的にできている必要があります。
これができていないと、スキーを少ししか振ることができなかったり、てんぽよくジャンプできなかったり、上体をあおって反動をつけなければスキーを回すことができなかったりします。



◆プロペラの種類
このプロペラは大きく分けると3つの練習方法があります。
1.ピボットでトップとテールを振る
2.テールを引き上げて振る
3.トップを上げて振る


では、順番に見てみましょう。

1.ピボットでトップとテールを振る
ブーツを中心にトップとテールを振る操作です。
これが最もベーシックな方法で、プロペラと言えば一般的にこの動きをさします。


ブーツを中心にひねる動作と、そのひねりを戻す動作によって、スキーを回すビポット操作の練習になります。

また、この練習でスキーと体が大きくひねられた体勢を作り出すことができるようになると、非常に強いポジションになり、ちょっとのことでは転ばなくなります。
また、スキーをフォールライン方向に強くずらして減速することができるようになります。


2.テールを引き上げて振る
2つめはテールを引き上げて振る操作。


少し前傾オーバー気味のポジションをとり、スキーのトップはほとんど上げず、テールを上に引き上げて振ります。
スキーを振る中心軸は、スキーのトップ寄りになります。

この練習で体得できる動きはコブの実戦で非常に有効です。
例えば、コブの出口でスキーを回す際、スキーのテールがひっかかって回せないことがあります。
このテールを引き上げてスキーを振る動作をマスターすることで、テールをひっかけずに回すことができるようになります。


また、テールを引き上げる動きは、その反対に位置するトップが下がる動きにつながります。
つまり、先落としの動きにリンクします。


テールを引き上げるプロペラは先落としの動きに近いスキー操作になるので、先落としを習得していく導入段階では非常に効果的な練習法ではないかと思います。


あと、コブに乗り上げる際に重心が前に行き過ぎて、スキーのトップが詰まって前にバランスを崩してしまったときのリカバリーとしても有効な動きになります。



3.トップを上げて振る
最後はスキーのトップを振る操作。


ポジションは少し後傾気味で、ジャンプしたときにトップを上げて振ります。
スキーを振る中心軸はテール寄りになります。

前述のピボットでスキーを振るプロペラとテールを引き上げて振るプロペラは、コブでの基本操作を覚える動きとして重要なのですが、このトップを振るプロペラはどちらかといえばリカバリー動作の練習になるのかと思います。

後傾でコブに乗り上げるとスキーがすっぽぬけてトップが浮いてしまうことがありますが、このときのリカバリーとしてこのトップを振る操作の練習が役立ちます。

リカバリー的な動きになるので、ピボットやテールを引き上げるプロペラに比べれば重要性は低くなります。
でも、コブに弾かれてしまったときに「練習しておいてよかった」と思うことがあるのではないでしょうか。

私の勝手な印象ですが、これらのプロペラの種類別練習量の割合は、以下くらいがいいのではないかと思います。



いずれのプロペラもコブを滑る上での大切な要素が含まれているので、これらをテンポよくバランスを崩さずにできるようになれば、コブの滑りがかなり安定してくるのではないでしょうか。



よくある失敗例
プロペラでスキーを大きく振ろうとすると、スキーを振る方向に対して上体が反対に向いてしまう場合があります。


効率的な動きができていないと、上体を大きくあおった反動を利用しなければジャンプしてスキーを振ることができません。

最初はこのような動きがどうしても出てしまうかもしれません。
でも、ご心配なく。 これは初めてプロペラにトライする多くの人に出てしまう現象です。
しばらく練習してコツをつかみ、体がその動きを覚えてくれば、上体を固定したままでスキーを左右に大きく振ることができるようになります。


また、最初のうちは1回1回しゃがんでからジャンプしてスキーを振るような感じになってしまうと思います。
これもしばらく練習すれば、着地した反動を利用してジャンプしてスキーを振ることができるようになります。
ポンポンポンとテンポよくジャンプしてスキーを振ることができるようになることが目標です。



◆ポジションの矯正にも効果的
初級者は全般的にベースとなるポジションが後傾気味になっていることが多いのではないかと思います。
後傾のポジションでプロペラにトライしてみると、テールがひっかかってスキーを上手く振ることができないというケースがでてきます。
後傾ではない理想的なポジションでプロペラを行えば、トップとテール両方が宙に浮き、テールをひっかけることなく振ることができるようになります。

また、緩斜面ではできるのに、急斜面ではテールが引っかかって上手く回せないことがありますが、これは急斜面に合った前傾ポジションが取れていないことが原因です。
急斜面では斜面の下に向かって飛び込んでいくくらいのイメージでジャンプしなければ、プロペラでテールが引っかかってしまうことが多くなります。
このくらいおもいきった前傾のポジションをとらないと、急斜面の実際の滑りでは後傾になってしまうという目安になり、斜度によって変化していく前後のポジションを確認することができます。

このように、プロペラはポジション矯正にも役立ちますので、ぜひ取り入れてみてほしい練習方法です。



◆プロペラの欠点
プロペラは練習方としては非常に効果的なのですが、欠点もあります。
それは、おもしろくないということと、非常に疲れるということです。

プロペラを30分くらい練習すればヘトヘトに疲れて、その後コブを滑る気力も体力も失せてしまうかもしれません。

そのため、スキー場でたくさん滑ることができる環境で、プロペラの練習に時間と体力を使ってしまうのは、あまりにもったいないです。
せっかく時間とお金と労力をかけてスキー場に来たのだから、プロペラの練習に時間と体力を費やしてしまうのではなく、その分たくさん滑って楽しんだ方がいいと思います。



◆スキー場が混んでいるときこそプロペラ
スキー場がめちゃくちゃ混んでいて「1本ヒューと滑り下りたらリフト待ちが10分以上」みたいな時、たまにありますよね。
このような滑っている時間よりリフト待ちの時間のほうが圧倒的に長い時は、プロペラの練習に最適です。 

コース1本をプロペラでおりてくれば、たぶんリフト待ちの時間をはるかに上回るくらい時間がかかってしまうのではないかと思います。

たしかに楽しくはないのですが、混雑していてあまり滑ることができない日でも、とりあえず上達できたという達成感は得られるのではないでしょうか。

また、プロペラは息が上がってしまうくらい負荷の高い運動なので、リフト待ちですっかり凍えてしまった体も温まります。
ばててくるとリフト待ちの列に並んでいる時間が、ちょうどいい休憩時間のように感じてくるかもしれません。



◆斜度が無くてもできる
実はこのプロペラ、斜度がないところでも練習できちゃいます。
もちろん斜度があるスロープで行ったほうが効果的なのですが、平地で行ってもそれなりに有効な練習になります。

平地でもできるので、「スキー場についたけど、今日は風が強くてリフトが動かない」なんて泣きたくなるような時こそプロペラを練習する絶好のチャンスです。
レストハウスでくつろいでいないで、さあ、外に出てプロペラの練習をしましょう。



◆雪が無くてもできちゃう
さらに、プロペラの練習は雪がなくてもできちゃうんです。
マットレスや敷布団を床に敷いたり、ダンボールを重ねて地面に敷いたりして、スキーを履いてその上でピョンピョンと練習することができます。

↓「よーし、プロペラやっちゃうよー♪」


つまり、春夏秋冬、季節と場所を選ばずに練習できてしまいます。
オフトレとしての体力強化に加え、実際のスキー操作にも直結する効果的な練習法の1つだと思います。

ただ、外で行う場合は、「あのスキーバカの人、ついにおかしくなっちゃった」みたいに思われてしまうかもしれませんね。
屋外の人目に付く場所では、人々の冷ややかな視線に耐えなければなりません。

また、室内で行う場合はドスンドスンという騒音や振動が生じてしまいますので、アパートやマンションの下の階の人に迷惑にならないよう気をつけましょう。





◆なぜプロペラの練習はコブに効果的なのか?
スキーに乗る位置を確認できたり、スキーを回す動作の向上に役立ったり等、プロペラの効果はいろいろとありますが、最もその効果が大きいと言えるのは上体の逆ひねりが身につくことです。

ご存じのとおり、コブでは上体がフォールラインに向いていることが非常に重要になります。


スキーが横に向いていても体は斜面の下(フォールライン)に向いている体勢は、スキーに対して体が大きくひねられている状態になります。
このような体をひねる動作は上体の逆ひねりと呼ばれていて、これがしっかりとできているかどうかが、コブの滑りに大きな影響をおよぼします。

特に初級者はスピードを落とすためにスキーを大きく横に向けることが多くなります。
そのぶん体を大きくひねる必要があり、滑る時に常に意識しておくべき大切なポイントになります。

ですが、上体をフォールラインに向けることを意識していても、スキーを回すとそれにつられて上体もローテーションして横に向いてしまいがちです。
また、自分では大きくひねっているつもりでも、動画で撮ってみると下の図のようにひねりが十分ではないことが多いのではないでしょうか。


実際はフォールライン方向に上体をキープするという意識より、スキーの反対側を向くくらい積極的に上体をひねっていく感覚で滑ったほうがいい場合が多いように思います。


「ちょっとやりすぎかな?」って思うほどおもいきってひねる意識で滑るくらいが、ちょうどいいのではないでしょうか。

ふだん整地やコブを滑っていても、これくらい大きな上体の逆ひねりはなかなか身に付きにくいのですが、プロペラを練習することで大きなひねりの動作を体験し、比較的短時間で体に覚えこませることができるようになると思います。





◆上体の逆ひねりが大きいことのメリット
ここからは上体の逆ひねりがしっかりできていることのメリットを見ていきましょう。


●スライドで強く減速できる
コブの裏でスキーをずらす際に、上体の逆ひねりが十分でないと減速が弱くなってしまいます。


ここで、ひねりを大きくとることができれば、ガリガリとコブの裏を強く削って減速することが可能になります。
特にスキーのテール部分を有効に使って、ずらして減速できるようになります。




●リカバリーに効果的
凸凹しているコブ斜面は、ただでさえバランスを崩しやすい状況です。
特にコブに慣れていない初級者は、リカバリーの連続と言えます。

スキーがすっぽ抜けたり、コブから強い衝撃を受けてはじかれたり、スキーが重なっちゃったり、回りすぎたりなど、コブでは予想外ことや予想以上のことが常に起こります。
ここで、大きな上体の逆ひねりが身に付いてくれば、以前は転んでいたような危機的状況でも、なんとか持ちこたえることができるようになります。



●前もってリカバリーの準備ができる
コブをたくさん滑りこんで慣れてくると、次のコブにぶつかる時にどのくらい衝撃を受けるのか、また、スキーは次にどのような動きをするのかがだいたい予想できるようになってきます。

たとえば、コブに飛ばされて体勢が遅れ、さらにそのままの状態で次のコブにぶつかれば、弾かれてバランスを崩してしまうことが予測できる状況になったとします。



こんなときは、上体をフォールライン方向よりもさらに外側に向くくらい大きくひねって準備することにより、次のコブで大きな衝撃を受けてもリカバリーできるケースがあります。


このような事前にリカバリーの準備をしておく動きは、コブの経験値を積むことで自然とできるようになります。
ただ、体を大きくひねる動作が身についているからこそ、とっさにこのような動きができるのではないかと思います。
 





◆減速やリカバリーができるからスピードを出せる
上記ように、逆ひねりは減速やリカバリーといった守りに対して有効な動きになります。

カービングで加速していくような攻めの手法ではないので、地味で消極的に感じてしまうかもしれませんね。

でも、減速やリカバリーといった守備力を身につけることは、スピードに強くなることに直結しています。
スピードの限界値を上げていくということは「このくらいのスピードまでならいざという時でもなんとかなる」というスピード域を上げていくことなんだと思います。

このような守りの技術は整地の緩斜面や中斜面をクルージングしていても、なかなか身につきません。
今回話題にしているプロペラの練習や、コブや深雪などの難斜面を数多く体験することによって、守りの能力を高めていくことが可能になります。

逆説的ではありますが、積極的に加速していくターンより、むしろ消極的で受け身と思われがちな減速やリカバリーの能力を上げることによってスピードに強くなります。

サッカーや格闘技などではよく「攻撃は最大の防御」と言われることがありますが、コブはその逆で「防御は最大の攻撃」と言えるのではないかと思います。





実のところ、最近私はコブで上体の逆ひねりを意識して滑っていることは、ほとんどありません。
それは、初級者だった頃のようにスキーを大きく横に向けて滑ることが少なくなったので、大きくひねる動作が必要なくなったからというのが一因です。
また、逆ひねりの動きが身についていて、無意識のうちにできてしまっているので不都合を感じていないだけなのかもしれません。  

でも、自分が初級者の頃にたくさん転びながら少しずつ上達していったときのことを思い返してみたり、周りの人たちが紆余曲折しながら上達していく様子を見たりしていると、上体を大きくひねることができなかった頃と、それができるようになった後では、コブの滑りが大きく変わっているのに気づきます。
それらの体験から、やっぱりコブでは上体を大きくひねることが大切なんだなぁ、と思います。


ここからは、私が初級者だった時のことや、周りの人たちが上達していった過程を思い起こしながら、ひねりとコブの結びつきと、それが上達にどのように関係するのかを考えてみますね。

具体性に欠けた主観的な見解になってしまうので、多くの方々には当てはまらない内容になってしまうかもしれません。
1人のへたっぴモーグラーの寝言みたいなものと考えて、軽く読み流していただければと思います。


◆スピードを出す滑り方と減速する滑り方のひねりの大きさ
スピードを出す滑り方と減速する滑り方では、スキー操作や体の使い方が大きく異なります。
この違いは細かい点もいろいろとあるのですが、特に目立つところは、ひねりが大きいか小さいかの差です。



●スピードを出す滑り方
スピードを出す滑り方では、ひねりは小さくなります。


胸がスキーの進行方向に向いていて、スキーに上体が正対しているポジションです。(注:ターン局面によって多少の内向と外向はあります)      
この体勢はスキーと上体のひねりが少なく、進行方向に加速しやすい滑り方になります。



●減速する滑り方
減速する滑り方では、ひねりが大きくなります。


スキーは横に向いているのに胸は斜面下方向に向いていて、スキーと上体が大きくひねられているポジションです。

このようなひねりが大きい体勢では、スキーをずらして減速しやすくなります。



●整地のカービングターンはスピードを出す滑り方
整地のカービングターンでは、スキーに体が正対気味のポジションが一般的です。 
つまり、スピードを出しやすいポジションになります。


そもそもスピードを上げることだけを求めるのであれば直滑降が一番速いわけで、ターンをすること自体が加速を妨げる行為になります。
加速を妨げる要素であるターンをしながら、なおかつスピードを殺さずに滑る方法がスキーに正対したポジションでのターンになります。


●コブ斜面は減速する滑り方
コブでは減速しなければすぐに破綻してしまいますので、自分の許容範囲内のスピードまで減速できるかどうかが重要になります。
コブで減速するには、スキーが横に向いているときでも上体をフォールラインに向けたひねりが大きいポジションが適しています。




このように、斜面状況と滑り方によって適したひねりの大きさは変化します。



◆スピード系と減速系、どっちが得意?
初級者の中には、スキーに正対したスピード系の滑り方が得意なかたと、ひねりが大きい減速系の滑り方が得意なかたがいるのではないかと思います。

もちろんほとんどのスキーヤーがスピード系の滑り方も減速系の滑り方も両方できるわけですが、どちらかというとスピード系の滑り方のほうが得意な人と、どちらかといえば減速系の滑り方が得意な人に分かれるのではないかと思います。

整地された中斜面や緩斜面が好きなかたであれば、スピード系の滑り方で滑っていることが多く、結果的にスピード系の滑り方が得意になります。
人数的にはこちらが多くの割合を占めているのではないかと思います。

そのいっぽう、整地されていない急斜面や深雪のようなワイルドなシチュエーションを好むかたであれば、減速系の滑り方で滑ることが多いため、自然に減速系の滑り方が得意になっていきます。
こちらは少数派ではないかと思います。

コブの滑りがすぐに上達するのは、減速系の滑り方が得意なタイプのスキーヤーです。



◆きれいな滑りと強い滑り
次に、ちょっと見方を変えてきれいな滑り強い滑りの2つに分けて考えてみましょう。

きれいな滑りはスピード系の滑り方が得意なスキーヤーに多く見られます。
無駄な動きが少なく、流れのある滑りをするタイプですね。




反対に、強い滑りは減速系の滑り方が得意なスキーヤーです。
雑な感じの滑りで見かけは不格好ですが、難しい斜面をバランスを崩しながらでも転ばずに降りてくるタイプです。



コブで必要となるのは、きれいな滑りではなく、強い滑りのほうです。

そのため、整地はきれいに滑ることができるけど、コブになると全くダメになってしまうスキーヤーが多い一方で、整地の滑りはカッコよくないけど、コブになってもなんとか滑れちゃうスキーヤーがいたりします。



きれいな滑りにあこがれて弱い滑りになっちゃった
私の学生時代からの友人で、原田君(仮名)という初級者だけどとても強い滑りをする人がいました。

原田君はいつもイノシシのような低い前傾姿勢と極端なオープンスタンスで滑っていたので、遠くからでもすぐに原田君だとわかる特徴のある滑りでした。
「猪突猛進」とは、彼の滑りのためにあるような言葉だと思ったものです。
スキーの動きはバラバラだけど、急斜面や不整地にも負けずに雪を蹴散らしていく滑りは、まるで重戦車のようでした。

そんな原田君が変わってしまったのは、みんなでスキーの動画を撮り合いっこしたあの日からです。
原田君はスキーをそろえてきれいなシルエットの滑りになりたいと思いはじめたようで、内スキーのアウトエッジに乗ってコテッと地味に転ぶことが多くなりました。
いつもであれば絶対に転ばないようななんでもないところでも、簡単に転んでしまうようになりました。

原田君が今までと違う滑り方にトライしていたのは素晴らしいことだと思います。
でもその時は、きれいな滑りを目指したことでなんだか原田君の良いところがスポイルされてしまったような気がして、見ていて少し残念でした。



外見を気にすると動きが小さくなってしまう
コブをきれいに滑ろうという意識が強すぎると、初級の段階ではかえって上達を妨げてしまう可能性があるように思います。
それは、コブではおもいきって体を大きく動かすことができるかどうかが上達の早さを左右するからです。

スキーの滑り方を教わっているときに、よく教えられた動きをオーバーアクションで行うようにアドバイスされることが多いかと思いますが、コブでは整地以上に大きく体を動かしていくことが必要になります。

でも、外見を気にしてしまうと、オーバーアクションで行うことに対して心理的な障壁をつくってしまうことになりかねません。
「他の人に自分の滑りがどんなふうに映っているのかなぁ」とか「リフトから見てる人たちに笑われてるんじゃないかなぁ」なんて思ってしまうと、きれいに滑ろうとする意識が働いて、オーバーな動きで滑るのが恥ずかしくなってしまいます。
私にもそういう面がありますし、人間である以上こういった雑念はつきものなのかもしれませんね。

実際は意識している動きを「これってやりすぎじゃない? 変じゃない?」ってくらい大げさにやってみるのがちょうどいいか、それでもまだ足りないくらいのことが多かったりするもんです。

それに、これはコブに限ったことではありませんが、スキーは上達していけば自然ときれいで見栄えのいい滑りになっていきます。
初級の段階では外見はできるだけ気にしないようにしてオーバーアクションで滑ったほうが早く上達するので、結果的にはきれいで見栄えのいい滑りになる近道ではないかと思います。




◆整地では上手くなるとスピード系の滑りになる
スキーが上手くなってくると、整地ではシャープなエッジングでスピードのロスを抑えた滑りに進化していきます。 
そのため、上達していくにしたがい整地ではスピード系の滑り方で滑ることが多くなるのではないでしょうか。

このような整地で加速する滑り方が身についていて、コブでも無意識のうちに同じような動きがでてしまうと、十分に減速できずにコブのラインから飛び出してしまうことになってしまいます。

初級者の段階でコブで求められるのはスピード系の滑り方ではなく、その対極に位置する減速系の滑り方になります。
具体的には、コブで必要となる動きに直結する整地の滑り方は、ひねりを多くしてずらして減速する滑り方になります。




◆整地のスピード系の滑りはコブでも有効?
コブで整地のカービングショートターンと同じようにターンすると、コブのバンクを通る滑り方になります。
そのため、バンクターンを習得するには、整地のスピード系の滑り方の練習が役に立ちます。





ただ、バンクターン以外のもっと凡庸性のある一般的なコブのライン取りを考えた場合、整地でシャープにカービングする滑り方の練習がコブでも効果を発揮するのは、既にコブを上手に滑ることができるスキーヤーに限定されるのではないかと思います。

まだそのレベルに到達していない初級者の場合は、コブでは減速することが重要なので、整地のスピード系の滑りはコブの滑りとは共通点が少ない滑り方になってしまいます。

整地でスピード系の滑りを追求していくことは魅力的で、これこそスキーの醍醐味と言えますよね。
ですが、スピード系の滑り方はコブで必要になる減速系の滑り方とは異なる部分が多いことは、頭の片隅に入れておいたほうがいいのかな、と思います。



◆整地で行うコブの練習
初級段階のコブの実戦では、凸凹した斜面でいかに減速できるかが重要になってきます。
そのため、スピードを殺さずにシャープなターン孤を描く整地のスピード系の滑り方は、コブの滑り方とは相いれない部分が多くなってしまいます。

また整地ではスピード系の滑り方の方が減速系の滑り方よりも滑っていて気持ちいいし、カッコイイので、どうしてもスピード系の滑り方を多く練習するようになります。

そうなると、整地のスピード系の滑り方は上手くなったけど、減速系の滑り方はあまり練習していないので、整地の練習とコブの上達がなかなか結び付かないことになってしまいます。

「整地で練習することによってコブの滑りも上達する」とよく言われていますよね。
私も同感です。
ただ、コブ初級者が整地でコブの練習をする場合は、整地で一般的なスピード系の滑り方をするのではなく、コブのためとわりきって減速系の滑り方の練習をしたほうが、早くコブの滑りが上達できるのではないかと思います。
ずらして減速する滑り方なので、あまり楽しくないかもしれませんが、これでコブが上手くなると思えば練習するモチベーションを維持しやすいのではないでしょうか。




◆コブと整地の難易度の差からくる滑り方の違い
「整地は滑れるけどコブは滑れない」という人はたくさんいますが、「コブは滑れるけど整地は滑れない」というのは聞いたことありませんよね。
それは、整地よりコブの方が難しい斜面状況だからです。(あたりまえか…)

この難易度の違いから、コブと整地の滑り方が一致しづらくなり、「整地が上手くなったからコブも上達した」ということが起こりにくくなってしまいます。

平均的なスキーヤーの整地のレベルがこれくらいの時にコブのレベルがこれくらいになるのではないかという表を以下につくってみました。


ちょっと強引ですね。

まれに私のようにコブばっかり滑っていて、「コブは上手くなったけど整地は下手」なんて人もいますが、そのような変わった人は無視して、スキーヤー全体の平均を考えてみたのが上記の表です。

コブは整地より難しいので、整地とコブのレベルにはズレがあります。
たとえば表のレベル3、整地が中級レベルのスキーヤーは、コブでは初級レベルに該当します。(あくまで平均を考えてみた場合です)
つまり、整地はだいぶ上手になったけど、コブはまだまだという感じですね。

次にレベル3の滑り方を見てみましょう。
カービングスキーの性能のおかげで、整地中級者レベルでもカービングで滑ることができます。
いっぽうコブでは初級者なので、クルッと回して横滑りの滑り方からようやくスライドっぽい滑り方に進化した段階です。

このように、表のレベル5を除けば、難易度の差から整地とコブのレベルにはズレがあり、滑り方にも差異が出てきてしまいます。
そのため、多くのスキーヤーは整地とコブではかなり異なる滑り方で滑っていることになります。

このへんが、コブと整地の練習の効果や上達がなかなか一致しにくい原因ではないかと思います。




◆整地とコブの滑りで共通するところと異なるところ
コブも整地も「ターンしながら斜面を滑り下りる」という根っこのところは同じなので、滑り方には多くの共通するポイントがあります。
「あ、これって整地の滑り方と同じだ」という感じで、滑っているときにコブの滑り方と整地の滑り方の共通点が見つかることがあります。

コブと整地で共通する部分を見つけたら、整地で滑っているときにその共通するポイントに意識をフォーカスして練習することで、そこで体得した感覚をコブの滑りにも還元することができるようになります。

そのいっぽうで、凹凸したコブに対応するためには、整地とは違った滑り方が必要な部分もあります。
凹凸があるためにターンする場所が制限されてしまういっぽうで、凹凸があるからこそできる凹凸を利用した滑り方があります。
初級者の場合はコブと整地の滑り方の共通点を探すより、このようなコブと整地の滑り方の異なる部分を探した方が、かえって早く上達できるのではないかと思います。 

「整地ではこういうふうに滑るといいけど、コブではここは違うほうがいいみたいだ」という整地とコブの滑り方で異なっている部分を見つけていきます。
少しコブが滑れるようになった初級の段階では、このような整地の滑りと異なる部分を見つけて分けて考えていくことで、コブ特有の滑り方を早く習得できるのではないかと思います。


そして、コブの滑りがある程度のレベルを超えて上達してくると、ブレーキ一辺倒の滑りから卒業し、スピードを出してコブを積極的に攻める滑りを目指すようになります。
そうなると、今度は整地のスピード系の滑り方とコブの滑り方で異なる部分よりも、共通点がより多く見えてくるようになります。
整地でカービングターンを行う時と同じように、クロスオーバーや切り替え時の低い姿勢、トップのエッジでターンを始動、谷回り、ひねりを抑えたエッジングなどの多くの共通点が出てきます。

こうなってくると、整地のスピード系の滑りが上達すればコブも上達するという良いスパイラルが生まれてくるのではないかと思います。





あれれ? プロペラと逆ひねりについて書いていたのに、いつのまにか違う話題になってしまいました。すみません。

というわけで、今回は以上になります。


おわり




◆目次はこちら















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目次
INDEX

下の各項目からもご覧いただけます
コブの滑り方
■ 脚は少し曲げておく
■ 目線は重要
■ かかと加重を重視する
■ スタンスと前後差について
■ 基礎スキーヤーがモーグル的に滑るには
■ 吸収動作を長くキープする
■ モーグルのストックワーク (1)
■ モーグルのストックワーク (2)
■ モーグルのストックワーク (3)
■ スイッチバック
■ 背筋を伸ばす
■ 秘技!! スライド&ジャンプ
■ 吸収動作が必要なわけ
■ 吸収動作によるスピードアップ
■ 1つの動作で吸収と先落としをする
■ 吸収はヒザを意識する
■ 腰はスキーと同じ方向に向ける
■ 吸収動作による前後のバランスの調整
■ 吸収を行わない滑り方
■ 肩の逆ローテーション
■ ダブルストックを使うには
■ 縦の溝コブで減速するには
■ コブの溝でスキーをたわませる
■スキーの先落としと関節の動き
■吸収と伸ばしのタイミング
■ 足首の角度とポジションの関係
■ 左右非対称のコブとスライド
■ レベルによるストックワークの違い
■ スキーの先落しの角度とスピードコントロール
■ 静かなストックワーク
■ ボール状の凹みを通るライン
■ 外側の肩を下げる動きについて
■ スキーの縦の動きと練習について
■ コブ初心者 (1) どこを通る?
■ コブ初心者 (2) フォールライン方向にずらす
■ コブ初心者 (3) 上体をフォールライン方向にキープ
■ コブ初心者 (4) 脚のかまえ
■ コブ初心者 (5) それではコブを滑ってみよう・前編
■ コブ初心者 (6) それではコブを滑ってみよう・後編
■ コブ初心者 (7) スキー板と練習するコブ斜面
■ 春の巨大コブを省エネで滑る方法
■ 滑り方によって変化する谷回りと山回り
■ コブ中級者への道 (1) プロペラと逆ひねり
スキー場
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