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コブやモーグルについて思ったことをダラダラとつづっています。
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さてさて、今回は「負の連鎖」の最終回、Part 4 です。

Part 1、Part 2、Part 3 をまだ読んでいない場合は、以下のページを先にお読みください。

●負の連鎖 Part 1
●負の連鎖 Part 2
●負の連鎖 Part 3


では、早速はじめていきますね。


◆重心が後ろにある状態で次のターンに入ってしまうと、スキーがハの字になる
前回の Part 3 では、「スキーがハの字に開いてしまうこと」についてふれてきました。

その欠点があらわれてしまう原因は、スキーの前後差であったりエッジを立てていることなどによるものだったのですが、実はそれ以外にもスキーがハの字に開いてしまう原因があります。

それは、スキーに対して重心が後ろ(山側)にある状態で、次のターンに入ってしまうことです。
別の言いかたをすると、斜面に対して後傾のポジションのまま次のターンを始めてしまっていることになります。


わりと多くのコブ初級者のかたが、このような滑り方をしているのですが、どうしてこうなってしまうのでしょうか?
たぶん、こうなってしまうことの多くは、急いで次のターンに入ろうとしてしまうことに起因しているのではないかと思います。

急いで次のターンに入ろうとすると、コブの溝に落ちた直後、すぐにスキーを回し始めます。
これだと、まだスキーに対して体が後ろ(山側)に位置している状態で、次のターンに入ってしまうことになります。


では、このときどのようにして「ターンを始動する動き」を行っているのか、見てみましょう。

まず、コブにドスンと落ちた直後に、スキーを次のターン方向に回し始めます。
ここで、外スキー(谷側のスキー)に全体重をかけて、内スキー(次のターンの外スキー)に体重がかかっていない状態にします。
これで、内スキー(次のターンの外スキー)がフリーの状態になります。
そして、体重をかけた外スキーを足場にして、フリーになった内スキー(次のターンの外スキー)を回していきます。


そうすると、外スキーから次の外スキーに踏みかえて回していく動作がでてしまい、スキーのテールがハの字に開いてしまいます。


このときの体とスキーの位置関係はどうなっているでしょうか?
スキーが前体が後ろになってますよね。
つまり、ポジションとしてはまだ次のターンに入る準備ができていないのに、足(スキー)は次のターンを開始してしまっているということになります。
結果として、体とスキーの動きがちぐはぐになってしまうだけではなく、左右のスキーの動きもバラバラになってしまいます。

ではどうすればいいのかと言うと、次のターンに入るための適切な体とスキーの位置関係ができてから次のターンを始動すれば、このような問題は起こりません。

つまり、体の前にあったスキーが、体の下に位置する状態になるのを待ってから、次のターンに入ればいいことになります。


このようにするには、ターンを開始するタイミングを今までより遅らせるような意識を持つのが1つの有効な手段になります。

ただ、ターンを開始するタイミングを遅らせることに抵抗を感じているかたも多いのではないでしょうか。

特に細かいピッチのコブでよくあることですが、ターンするタイミングが遅れてしまい、すべての対応が後手後手に回ってしまうことがあります。
こうなると、ターンが間に合わなくなり、最終的にはコブのラインから飛び出してしまうことになります。

こういった失敗を繰り返すと、「コブではできるだけ早く次のターンに入らなきゃ」、と意識するようになるのではないでしょうか。
すると、体の下にスキーが戻ってくるより早く、つまりスキーが体の前(フォールライン側)にある状態で次のターンに入ろうとしてしまいます。

ここでは、スキーを早く回そうとするより、「重心を前にする」、または「体の下にスキーをキープする」ような意識を優先したほうが、結局はスキーが早く回ってくれるのではないかと思います。(これについては後ほどお話ししますね)


では、踏みかえる動きによりスキーがハの字に開いてしまうプロセスについて、もう少し詳しく見てみましょう。

1.コブの落ち込む部分を下っていき、溝に落ちます。


このとき、脚を突っ張って伸ばしていく方向に力をかけ続けています。
これは、
スキーをずらして減速するため
と、
コブにぶつかったときに受ける衝撃に耐えるため
の2つが主な要因です。

脚を突っ張ってフォールライン方向に伸ばしているので、スキーが谷側(前側)で体が山側(後ろ側)のポジョンになります。



2.コブの溝に落ちます。
ここで、できるだけ早いタイミングで次のターンに入ろうとします。


このとき、外スキーを足場にして内スキー(次のターンの外スキー)を回していくので、外脚をつっぱって伸ばしていくような力をかけ続けています。


外脚を突っ張っているため、外スキーに対して体が山側(後ろ)にある状態がキープされます。

そうすると、重心がスキーに追いついて、体の下にスキーが位置するポジションになる前に、次のターンに入ることになります。
つまり、まだ重心が後ろ(山側)で、スキーが前(谷側)にある状態で、次のターンに入ろうとしてしまいます。


この場合、外スキーから次のターンの外スキーに踏みかえる動作になり、スキーのテールがハの字に開いてしまいます。


このように外スキーから外スキーに踏みかえて回していく動きは、体勢が遅れてしまったときのリカバリー動作としては有効かもしれません。
ただいつも、毎ターンごとに踏みかえて回していく動作を行っていると、常にスキーのテールが開いてしまい、安定した滑りが難しくなってしまいます。
そのため、ふだんからこのような滑り方をしている場合は、滑り方を見直してみたほうがいいのではないでしょうか。


では次に、どうすればこのようなハの字に開いて踏みかえる動作が無くなるのか、考えてみましょう。

これはそもそも、重心がスキーより後ろになっている状態で次のターンに入ってしまうことが原因になっています。
なので、重心がスキーの真上に来たところで次のターンに入れば、スキーがハの字に開いてしまうことは無くなります。



でもここで、減速しようとする意識が強すぎると、斜面下側にスキーを押し出して、ブレーキをかけ続けてしまいます。


このようにスキーを斜面下側に押し出し続けていると、常に体に対してスキーが前に出た状態になってしまい、ターン切りかえ時にスキーがハの字に開いてしまいます。

この場合は、脚を斜面下側につっぱって伸ばし続けるのではなく、コブにぶつかったところで重心が前に行くように、脚を適度に脱力することが必要になってきます。


ただ、コブでこのような滑り方になってしまうスキーヤーは、整地でも同じような滑り方をしていることが多いように思います。
つまり、重心がスキーを後ろから前に追い越していく局面がなく、常に重心が後ろ(山側)で、スキーが前(谷側)にある状態で滑っています。


この場合は、重心とスキーの位置の前後の入れ替えができるように、まず整地の滑り方から変えていったほうがいいのではないかと思います。



いっぽう、整地ではちゃんと重心とスキーの前後の入れかえができているのに、コブになるとこれができていな場合もあります。
これは、多くの場合、早くスキーを回そうとしすぎていることが原因になっています。
なので、コブにぶつかった直後にすぐに次のターンに入ろうとするのではなく、ブーツがコブの頂点に乗り上げるところまで待ってからスキーを回していく意識をもつといいのではないかと思います。


コブの溝から頂点に乗り上げていくところで、重心がスキーに追いつき、体の下にスキーがある状態になります。
この状態になったタイミングが、重心とスキーの位置関係が次のターンに入る準備ができたと言えます。


かなり後傾になってしまった場合を除き、コブの頂点では体の下にスキーがあるポジションになります。
そのため、自分からスキーをひねって回していくタイミングを、コブの頂点に乗り上げるところまで待つことができれば、左右のスキーは同じタイミングで回り始めます。
そうすれば、スキーがハの字に開く動作は無くなります。

また、負の連鎖の Part 1 から Part 3 までで見てきたように、コブの肩に乗り上げていく方向へ進めば、自分からスキーをひねって回していかなくても、スキーは自然に次のターン方向へ回り始めます。


このようにスキーが自然に回り始めるようになるには、スキーの滑走面が雪面に対してフラットになっていて、体の下にスキー(ブーツ)があることが望ましいです。

この状態は、つまり、整地で言うところの「切りかえ時のニュートラルポジション」のような感じです。



ここでニュートラルポジションになるということは、コブにぶつかったところで、体がスキーに追いついて重心がスキーの真上にある状態になることです。


また、別の言い方をすれば、コブにぶつかったところで、スキーが体の下に引き戻されて、スキーが重心の真下にある状態になります。
つまり、コブにぶつかって早いタイミングでニュートラルポジションになることができれば、早いタイミングで次のターンに入ることができるようになります。


では、どうすればニュートラルポジションに早く入ることができるようになるでしょうか?
これは、コブの落ち込む部分を下っていくときに、体の下からスキーが前(斜面下側)に出ている量(大きさ)を少なくしてみるといいのではないかと思います。


なぜかというと、コブにぶつかる前から体とスキーがあまり離れていなければ、それだけコブにぶつかったときにニュートラルポジションになりやすくなるからです。


では、コブにぶつかったところで、どのようにしてニュートラルポジションになるのかを見てみましょう。

コブの落ち込む部分を下っていき、コブの溝に落ちます。
ここでスキーには、下方向(フォールライン方向)へ進んで行く慣性(勢い)にブレーキがかかります。


いっぽう、体には下方向へ進んでいく慣性が残っています。


この2つの力の差により、前に出ていたスキーに体の重心が追いつきます。
すると、重心の下にスキーがある状態になり、ニュートラルポジションになります。



ここで、体の下からスキーが大きく前に出てしまっていると、コブに落ちた後もまだ体の重心が後ろ(山側)に残っている状態になり、ニュートラルポジションになることが難しくなります。


このように体が山側に残っていると、コブの溝に沿って横方向へ直進してしまいます。
結果として、負の連鎖に陥ってしまうことになります。



いっぽう、体の下からスキーがあまり前(斜面下側)に出ていなければ、コブにぶつかったところで、早いタイミングでニュートラルポジションになります。


また、このようなポジションであれば、コブの溝に落ちた後に、コブの肩に乗り上げていく方向へ進みやすくなります。

つまり、スキーを体の下からあまり前に出さないようにすることが大切になってきます。

ただここで、反対にスキーを全く前に出さないと、コブの溝に落ちたときの衝撃で重心が前に行きすぎてしまいます。


こうなると、前にバランスを崩しそうになるのを筋力で耐えていかなければならないので、体力的に厳しい滑りになります。
なので、スキー場で午後になって疲れてくると、スキーを体の下に保って滑ることが辛くなってきて、どうしてもスキーが前にた出過ぎた後傾のポジションになってしまいがちです。


では、コブの落ち込みでスキーをずらして下っていくときに、体の下からどのくらいスキーが前に出ているくらいがちょうどいいのでしょうか?

これは、スピード、斜度、雪質、コブの溝の角度、コブの深さ、スキーを回し込む角度、そのときのポジションなど、さまざまな条件によって変わってきます。
そのため、これをすぐに感知して適切に対応できるようになるには、コブをたくさん滑って経験値を上げていく必要があります。

上記のようにさまざまな条件があるのですが、これらの中でコブ初級者にとって特に大きく影響してくるのは、スピードです。
コブ初級者は低速で滑ることが多いので、もっと速いスピードで滑っている中~上級者とは、「スキーが前に出ている量(大きさ)の許容範囲」が異なります。

では、スピードの違いによって、スキーが前に出る量の許容範囲がどのように変化するのかを見てみましょう。

まず、わりと速いスピードで滑っている場合です。
スピードが速いと、コブから受ける衝撃が強くなります。
スキーはコブにぶつかって急激なブレーキがかかり、下方向へ向かう慣性が弱くなります。
いっぽう体のほうは、スピードが速いので下方向へ進む慣性が強い状態です。

コブにぶつかってブレーキがかかるスキー、下方向へ進み続けようとする体、この2つの力の差によって、前にあったスキーが体の下に引き戻されます。
そして、スピードが速くなればなるほど、この2つの力の差は大きくなり、スキーが体の下に引き戻される度合も大きくなります。


そのため、ある程度以上の速いスピードで滑っているときは、スキーが体の下からけっこう前に出てしまっていても、コブにぶつかったところでスキーを体の下に引き戻すことが可能になります。
つまり、わりとスキーが前に出すぎている状態でも、それをリカバリーすることが比較的容易と言えるのではないかと思います。(注:これはスキーを横に回し込むスライドターンの場合です。トップから縦にコブに乗り上げていくような滑り方では異なります)

その反対に、体の下からスキーが出ている量が小さすぎると、前にバランスを崩してしまうことになります。

また、コブの内側のラインを速いスピードで滑っている場合は特に、フォールライン方向へ進む慣性が強い状態になります。
この場合、コブにぶつかってスキーが体の下に引き戻されていく過程で、既に次のターン方向にスキーが回り始めていることが多くなります。


これは別の言い方をすれば、ニュートラルポジションになる前に、すでにスキーが次のターン方向に回転していく動きが始まっていることになります。



では次に、ゆっくりとしたスピードで滑っている場合を見てみましょう。
この場合、コブの溝に落ちたところで、それほど大きな衝撃を受けません。
また、体が下方向(フォールライン方向)に進んで行く慣性も、それほど大きくありません。
なので、コブにぶつかってブレーキがかかるスキー、下方向へ進み続けようとする体、この2つの力の差は小さくなります。


そのため、低速で滑っているときは、体の下からスキーが前に出すぎてしまっていると、それをリカバリーすることは難しくなります。

つまり、低速で滑ってい場合は「体の下からスキーが前に出ている量の許容範囲は狭い」と言えます。

ただ、初級者全般に見られる傾向として、コブをずらして下っていくときに、スキーを前に出しすぎてしまっていることがとても多いです。

これだと、低速のスピードに対して、コブにぶつかったところで体の下にスキーを戻すことができる許容範囲を越えている状態になります。
結果的に、コブにぶつかったところで体が山側に残ったままになってしまいます。


つまり、どうすればいいのかというと、低速で滑っている場合は、体の下からスキーを前に出す量を、意識的に少なくしてみることが大切になります。

では、コブの落ち込む部分を下っていく時にどのようなポジションになるのでしょうか?
具体的に見ていきましょう。

スキーをずらして強く減速しようとすると、スキーを踏み込んで脚を伸ばしていく方向に力をかけていきます。
これだと斜面の下方向に脚を伸ばしていくことになるので、スキーが前に出すぎた状態になってしまします。


では、どのようにすればいいのでしょうか?

ここでお勧めしたいのは、
1. スキーを真上からフラットに踏んでいるイメージ
2. 脚は少し曲げた状態で、体の下にスキーをキープしたまま、ずれていくスキーと一緒に下っていく

この 2 点です。

では、この2つについて見てみましょう。

まず、エッジは立てずに、スキーを真上からフラットに踏んでいる点についてです。
コブの落ち込む部分の傾斜は、かなり急になります。
なので、スキーを真上からフラットに踏んでいても、斜面に対して十分にエッジが立っている状態になります。


滑っているときの感覚としては、これではエッジを立てている角度が少なすぎるように感じてしまうかもしれません。
でも、ご安心ください。
これだけでスキーをずらして減速していくのに、必要十分なエッジ角です。

これ以上にエッジを立ててしまうと、エッジが食い込みすぎて、横方向に進んでしまうことが多くなります。


こうなると、コブのラインから外れてしまいます。

また、エッジを立てすぎてしまうと、エッジが叩かれた際にスキーが急にずれてしまい、足が大きく前に出すぎてしまいます。


そのため、スライドターンでは、スキーを真上からフラットに踏んでいるくらいの感覚がちょうどいいのではないかと思います。


では次に、 脚は少し曲げた状態で、体の下にスキーをキープしたまま、ずれていくスキーと一緒に下っていくについて見てみましょう。
コブの落ち込む部分を下って行くとき、脚を伸ばしてスキーを前に押し出していくのではなく、体とスキーの位置関係をキープし続けます。
イメージとしては、ズレていくスキーの真上に乗り続けているような感じがいいのではないかと思います。

また、脚を少し曲げた状態を保っていれば、不意にスキーがずれすぎてしまったときにも脚を伸ばす余裕があるので、体の下にスキーをキープしているポジションを維持しやすくなります。


こうすることで、思ったよりスキーがズレてしまった場合でも、スキーが前に出すぎてしまうことは少なくなります。


上記のように、 ①スキーを真上からフラットに踏む、② 脚は少し曲げた状態で、体の下にスキーをキープしたまま、ずれていくスキーと一緒に下っていく、この2つができていれば、コブにぶつかったところでニュートラルポジションに入ることができるようになります。


では次に、実際に滑るときのポイントについてお話ししてみますね。
ここで確認していただきたいのは、コブの落ち込む部分を下っていくところで、コブの溝に落ちるまでこの状態をキープできているかどうかです。

コブの頂点を越えたばかりの所は、まだ落ち込みの角度は急ではありません。
また、雪がボサボサとしていることが多い部分です。
なので、わりとこのポジションをキープしやすい場所です。


ここからさらに下っていき、溝に近づくと、斜度が急になっていきます。
場合によっては、溝に向かってストンと切り立ったように落ち込んでいることもあります。


コブのこの部分はエッジで削られて、硬い氷がむき出しになっていることが多く、スキーが不用意にずれてしまいやすいところです。
ここで、エッジを立てすぎていたり、脚をつっぱって伸ばしていると、スキーが大きくずれてしまいます。
こうなると、体の下からスキーが大きく前に出て、後傾のポジションになってしまいます。



この硬く急な部分でも、体の下にスキーをキープしたまま、スキーのズレに乗っていくことができていれば OK です。


これを目安にして、できているか、できていないか、を確認してみてください。

これでも実際のところは、体の下からスキーが少しだけ前に出ている状態になります。
しかし意識としては、コブの落ち込む部分で、体の真下にスキーをキープし続けるようなイメージで滑ってみるくらいのほうが、適切なポジションになることが多いのではないかと思います。


このポジションでコブの溝に落ちると、早いタイミングで体の真下にスキーがあるニュートラルポジションになります。


すると、スキーはコブの肩に乗り上げていく方向に進みながら、次のターン方向へ回転し始めます。


また、左右のスキーが同時に回り始めるため、スキーがハの字に開いてしまうことはありません。


今回の内容は、以上になります。






◆負の連鎖がとぎれると
では最後に、Part1 から Part4 までのまとめとして、「負の連鎖がとぎれて、滑りのサイクルが良い方向に回っている状態」を、一連の流れで見てみましょう。

1.コブの落ち込む部分を、スキーをずらしながら下っていきます。


このとき、しっかり減速しようとしてスキーを強く踏み込むと、脚が伸びて、スキーが前に出すぎた後傾のポジションになってしまいます。
そのため、ここではスキーを強く踏んで脚を伸ばしきるのではなく、脚を少し曲げた状態をキープします。
感覚としてはスキーの真上に乗って、スキーに体重をあずけているくらいがいいのではないかと思います。
ずれながら下っていくスキーと一緒に下っていくような感じです。

2.コブの溝にドスンと落ちます。


コブにぶつかった衝撃で、スキーが下方向(フォールライン)へ向かう勢いは弱くなりますが、体は下方向へ進む慣性が働いています。
そのため、コブを下っていくところではスキーが体より少しだけ前に出ていましたが、コブにぶつかったところで、体の重心がスキーに追いつき、重心の真下にスキーがある状態になります。


体の真下にスキーがある状態になるので、コブの受けている部分の雪面に対して、スキーの滑走面がフラットになります。

ここでエッジが立っていると、スキーはコブの溝に沿って横方向へ進んでしまいやすくなりますが、エッジが立っていないので、コブの肩に乗り上げていく方向にスキーは進んで行きます。


3.コブの肩に乗り上げていくところで、自然に次のターン方向へスキーが回り始めます。




ここで、自分からスキーをひねって回していこうとすると、次のターンのエッジが立ってしまい、トップが逆エッジのようになってひっかかってしまいます。
そのため、コブに乗り上げるところでは、エッジは立てずにフラットな状態をキープします。
こうすることで、トップが逆エッジになることはなくなり、自然にスキーは次のターン方向へ回り始めます。


あと、コブの溝に沿って横に進んでしまい、自分からスキーをひねって回していこうとする場合、テールの先端が後ろのコブの落ち込む部分に当たって、引っかかってしまうことが多くなります。
こうなると、スキーを回してくことはできません。


これは、スキーを回していくタイミングが早すぎると、起こりやすくなります。

ここで、コブの肩に乗り上げていく方向へ進んでいけば、自分からスキーをひねって回していかなくても、自然にスキーが回っていくようになります。
また、コブの溝から離れながらスキーが回っていくため、テールが引っかかってしまうことはなくなります。



4.コブの頂点(肩)に乗り上げます。
ここでは、トップとテールが浮いた状態になるので、ブーツを中心にスキーをクルッと簡単に回すことができます。




ここでは、ほとんど自分からスキーを回していく力を使わなくても、ひねりが戻される力でスキーが自動的に回ってくれるような感じになります。

5.コブの頂点を越えて、コブの落ち込む部分に入ります。


横に膨らまないラインを通るので、コブの落ち込む部分のスペースが長くなります。
そのため、スキーをずらすことができるスペースを長くとることができて、減速しやすくなります。


以後、上記の1からの繰り返しになります。







◆思いとは逆になってしまう
ここまでで見てきたように、コブではやろうとしていることと、その結果が逆になってしまうことがあります。

1つは、コブの落ち込みでスキーをずらし、しっかり減速しようとした場合です。
落ち込みで減速しようとする意識が強すぎると、多くの場合、脚が前に伸びすぎてしまいます。
その結果、スキーが斜面の下側に出すぎてしまい、後傾の体勢になってしまいます。
すると、コブにぶつかったところでスキーは横方向に進んでしまい、次のターンに入れなかったり、入れたとしてもスキーをずらして減速するスペースが短くなってしまいます。


結局は十分に減速できずにスピードがでてしまい、コブに飛ばされてコースアウトしてしまいます。


もう1つは、コブにぶつかったところで早くスキーを回そうとしてしまう場合です。
コブではターンが遅れがちになることが多く、そうなると対応が後手後手に回ってしまい、コブのラインからはじき出されてしまいます。

このターンのタイミングが遅れてしまうことを防ごうとして、コブにぶつかった直後にスキーをひねって回そうとします。
すると、トップのターン内側のエッジがひっかかったり、テールが後ろの斜面に当たったりして、回せなくなってしまいます。


こうなると、ブーツがコブの出口に到達するまでスキーを回していくことができなくなり、結果的に次のターンに入るタイミングが遅れてしまいます。

また、スキーが体の下に引き戻される前に次のターンに入ってしまうため、ずっと後傾の姿勢が続いてしまいます。
そして、常に後傾の体勢では、スキーを回しずらくなってしまうので、ターン開始のタイミングがかえって遅れてしまうことになります。

つまり、減速しようとすればするほどスピードが出てしまったり、早くスキーを回そうとすればするほどターンのタイミングが遅れてしまったりと言うように、意図したことと反対の結果になってしまうことがあります。

このように、やろうとしていることに対して反射的に体が反応してしまう動きでは、コブを上手く滑ることができないケースが多々あります。
この場合、反射的な体の反応と、コブを滑るうえで合理的な体の動き、この2つの違いを認識し、このへだたりをうめていかなければなりません。

かと言って、無意識のうちに感覚的に行ってしまう体の動きを、常に頭で考えながら制御していかなければならないのかというと、必ずしもそういうことではないような気がします。
反対に、頭で考えた理論的なことより、体の感覚を大切にしたほうがいい場合もたくさんあるので、結局は場合によりけりではないかと思っています。







◆感覚が先で、理論は後付け
この記事を読まれたかたの中には、書いてあることが細かすぎて、めんどうに感じてしまったかたもおられるのではないかと思います。
実際のところ、コブの滑り方はもっとシンプルに考えるだけでいいのかもしれません。

それに、ゲレンデで見かけるコブをスイスイと滑っている人たちが、ここに書いたような細かいことを考えながら滑っているのかというと、そんなことはないと思います。
コブを滑ることができるスキーヤーの多くは、細かい理論的なことをはっきりと認識していなくても、ちゃんと滑れているのではないでしょうか。

私自身も、こういったことを理解したうえで上達してきたわけではありません。
知らなくても、コブをそこそこ滑れるようになりました。

コブを滑りながらいろいろと試しているうちに、「おっ!? こういう感じで滑ってみたほうがいいみたいだぞ」というザックリとした感覚的な発見の繰り返しで、少しずつ上達してきたように思います。

また、今回の記事の Part 1 から Part 4 までで書いてきたような細かいことはわからなくても、後傾内倒ローテーション等を直そうとする意識で滑っていれば、このような負の連鎖はしだいに改善されていくことのようにも思います。(でも、自分自身がその意味を納得しきれていないと、多少遠回りにはなるかもしれませんが...)
つまり、一般的に言われているようなコブの滑り方のコツに従って練習していけば、自然と良い滑りになっていくのではないでしょうか。
なので、ここでは他とは一線を画すようなことを言っているわけではなく、一般的に言われていることを自分のフィルターを通したかたちで書いているだけにすぎません。

コブが苦手な人から見れば、コブを上手に滑っている人たちは何か特別な滑り方をしているのではないか、と思ってしまうのかもしれません。
でもなんていうか、コブを滑れるか滑れないかって、実はわりと平凡なことが「できているか、できていないか」なんじゃないでしょうか。
つまり、「誰も言っていないコツがあって、これだけやればすぐにコブを滑れるようになる」みたいな魔法のような方法は無いんですよね。
結局のところ、一般的によく言われていて、それを知識としては知っていても、実際はできていなかったり、やっていても、それではぜんぜん足りていなかったり、といったところが分かれ目になっていることが多いような気がしています。


私は、スキーをしていないときでも、スキーの滑り方のことをぼんやりと考えている時間が多いのですが、「こんなふうにして滑ってみると、きっと上手くいくんじゃないかなぁ」と思い浮かべることがあります。
そして、次にスキーに行ったとき、それを実際に試してみます。
すると、上手くいくこともあれば、上手くいかないこともあります。

いや、正直に言うと、上手くいかないことのほうが圧倒的に多いです。

では、どんなときに上達のきっかけがつかめることが多いのかというと、いつもとは違う滑り方をいろいろと試しているときに、ふとしたきっかけで良い感じで滑れちゃったりします。

そのやり方だと、どうして良い感じで滑れているのか? といった理論的なことはわかりません。
ただ、今までの自分より良い感じで滑っている感触があるので、その滑り方を何度もくりかえし、その感覚を体に覚え込ませるようにします。(こんな時って、スキーをしていて一番楽しい時間ですよね)

そして、スキーから帰ってきた後も「なぜ、こんなふうに滑ったら上手くいったのか?」を考え続けます。
考えた結果、「あ、こういう理由なのかも」と気づくことがあります。
つまり私の場合、スキーの滑り方について理解していくことのほとんどは、感覚的な発見が先で、後から理論的なことがわかるという順番になります。
なので、なにはともあれ、はじめに感覚的な発見をすることが大切なことなのではないかと思っています。

それに、他の人からスキーの理論的な話を聞いたときにも、もしそれが自分が感覚的にできていることであれば、「あぁ、そういうことだったのか!」と、納得できます。
反対に、自分ができていないことだと、頭ではそのロジックを理解できたとしても、心の中では何か納得しきれていない自分がいます。


またいっぽうで、感覚的にできていることについて、どうしてそのやり方だと上手くいくのか、いくら考えてもその理屈がわからないこともたくさんあります。
そういったものは、言語化しようとすると、XXXみたいな感覚で、とか、XXXしてみるイメージで、みたいな曖昧な表現になってしまいます。

これは自分の中だけで完結することであれば、それでもいいのかもしれません。
でも、他の人にその滑っているときの感覚を伝えようとすると、なかなか上手くいきません。
なぜかと言うと、感覚的なものは1人1人異なるので、感覚的な表現だとその受け取り方も1人1人異なってくるからです。
なので、感覚的なものを、より具体的に、よりロジカルに、説明できることが望ましいことは言うまでもありません。


でも実際のところ、感覚的に行っていることに対し、それを物理的な事象として理論的に説明できることって思っているよりずっと少なく、大部分のことはまだ理解できていないのかもしれません。

それに私は、理論的に考えてみると首をかしげたくなるようなことでも、それが感覚的にできてしまっている場合、いつも理論より感覚のほうを信じるようにしています。

つまり、個人的には理論よりも感覚を重視しているタイプです。
そのため、理屈っぽいことを頭の中でこねくりまわすよりも、滑っているときの感覚をとぎすませ、上手く滑れている時の感覚を敏感にキャッチし、それを体に覚えこませていくことのほうが、よっぽど大切なことではないかと思っています。
また、滑っているときは、頭で考えて理想と考えるフォームを意図的につくっていくよりも、体の声に耳を傾け、その流れに身を任せたり、自然に現れる反応に従っていくことのほうが大事なことが多いような気がしています。
なので、もしだれかに「あなたは理論派? それとも感覚派?」と尋ねられたとしたら、「自分は感覚派です」と即答すると思います。

このように、「自分は感覚派のスキーヤーです」と言うと、天才肌のように聞こえてしまうかもしれませんが、私自身は実際はそんなことはまったくなく、そのへんに掃いて捨てるほどいる平凡なスキーヤーにすぎません。
で、ここで何が言いたいのかというと、私のような凡人でも、理論より感覚が大事ではないかと思うくらいスキーは感覚に依存したスポーツではないか、ということです。

私くらいのセンスがないスキーヤーでも理論は感覚の後追いになっているので、きっとスキーの才能がある方々は、理論的な理解よりも感覚の方がずっとずっと先を行っているのではないでしょうか。



では、感覚的に行っていることをロジカルに分析していくことは時間の無駄なのかというと、そんなことはないと思います。

感覚的にできていたことは、次のスキーまで日数が空いたりして、体がその感覚を忘れてしまったとしたら、それは再現できなくなってしまいます。
また、雪質やコブの形などの外的な条件が変わると、「いつもと同じ感覚で滑ってるのに上手くいかないなぁ」みたいなことになってしまうかもしれません。

ここで、感覚で行っていたことが理論的にわかっていれば、時間があいてしまったり、条件が変わったりしても、良いときの滑りを再現できる可能性は高くなるのではないでしょうか。

また、1つのことがわかると、いままで疑問に思っていた他のことまで、芋ずる式に繋がってわかってくることがあります。
そんな時は、とても嬉しいです。

ただ、いろいろな滑り方を試していくうちに、今まで正しいと思っていたことが間違いだった、と気づくことがあったりします。
そうなると、いままで積み上げてきたロジックが根底から崩れ去ってしまうことになります。

そうしたら、また最初から土台を築いていくことになりますが、そのときは、前よりもっと強固な土台となっていくんじゃないでしょうか。(たぶん...)
こうやって、進んでは後退、進んでは後退、を何度も繰り返しているわけですが、こういう悪あがきを続けているうちに、少しずつ上達していくのかもしれません。


おわり



◆目次はこちら































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目次
INDEX

下の各項目からもご覧いただけます
コブの滑り方
■ 脚は少し曲げておく
■ 目線は重要
■ かかと加重を重視
■ スタンスと前後差
■ 基礎スキーヤーがモーグル的に滑るには
■ 吸収動作を長くキープ
■ モーグルのストックワーク (1)
■ モーグルのストックワーク (2)
■ モーグルのストックワーク (3)
■ スイッチバック
■ 背筋を伸ばす
■ 秘技!! スライド&ジャンプ
■ 吸収動作が必要なわけ
■ 吸収動作によるスピードアップ
■ 1つの動作で吸収と先落としをする
■ 吸収はヒザを意識する
■ 吸収動作による前後のバランスの調整
■ 吸収を行わない滑り方
■ 肩の逆ローテーション
■ ダブルストック
■ 縦の溝コブで減速
■ コブの溝でスキーをたわませる
■スキーの先落としと関節の動き
■吸収と伸ばしのタイミング
■ 足首の角度とポジションの関係
■ 左右非対称のコブとスライド
■ レベルによるストックワークの違い
■ スキーの先落しの角度とスピードコントロール
■ 静かなストックワーク
■ ボール状の凹みを通るライン
■ 外側の肩を下げる動きについて
■ スキーの縦の動きと練習について
■ コブ初心者 (1) どこを通る?
■ コブ初心者 (2) フォールライン方向にずらす
■ コブ初心者 (3) 上体をフォールライン方向にキープ
■ コブ初心者 (4) 脚のかまえ
■ コブ初心者 (5) それではコブを滑ってみよう・前編
■ コブ初心者 (6) それではコブを滑ってみよう・後編
■ コブ初心者 (7) スキー板と練習するコブ斜面
■ 春の巨大コブを省エネで滑る方法
■ 滑り方によって変化する谷回りと山回り
■ コブ中級者への道 (1) プロペラと逆ひねり
■ コブでおじぎを防ぐには
■ コブ中級者への道 (2) スライドする方向を変える
■ コブ中級者への道 (3) コブでスキーが開いちゃう
■ 上体を前に移動させる
■ コブ頂点のポジション
■ 基本ポジション
■ コブの滑り方で変わる前傾角度
■ 腰と下っ腹の意識
■ 先落としにトライしてみよう Part 1
■ 先落としにトライしてみよう Part 2
■ コブの衝撃に強いポジション Part 1
■ コブの衝撃に強いポジション Part 2
■ 腕の構え
■ コブで動きを止めない滑り Part1
■ コブで動きを止めない滑り Part2
■ ストックワークと腕の動き
■ コブに乗り上げていくところの脚の動き
■ コブを片足で滑ってみる
■ 重心とスキーの回転
■ パウダーとコブの共通点 Part 1
■ パウダーとコブの共通点 Part 2
■ スキーのたわみでコブから受ける衝撃をやわらげる
■ 負の連鎖 Part 1
■ 負の連鎖 Part 2
■ 負の連鎖 Part 3
■ 負の連鎖 Part 4
■ テールジャンプ Part 1
■ テールジャンプ Part 2
■ テールジャンプ Part 3
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