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コブやモーグルについて思ったことをダラダラとつづっています。
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今回ご紹介するコブの滑り方は、左右ちぐはぐのターンの為、この滑り方をすると左右不均等のコブができてしまう原因になります。
そのため、あまりお勧めはしませんが、コブを利用した滑り方の1つの方法として、ご参考いただければと思います。



U.S. ナショナルチームのテクニック
今回ご紹介するのは昔 US モーグル ナショナルチームの選手がよく使っていた滑り方で、特にこのテクニックをよく使っていたモーグラーはショーン スミス(古い!)です。

ショーン スミスは、モーグルコースの上から下までほとんどこのターン テクニックで降りてくることもありました。
このターンのためスピードにはめっぽう強く、デュアルで戦うプロモーグルに転向してからは破竹の勢いでした。
ただ、ターン点は低かったです。

つまり、今回ご紹介する滑り方は、スピードには強いが、ターンの質は低くなる滑り方です。



ズラシとジャンプを使った左右非対称のターン
この滑り方は一言で言うと「ズラシとジャンプを使った左右非対称のターン」です。
例えば、左ターンでズラシを使った場合、右ターンではジャンプを使います。
左ターン(ずらし)→右ターン(ジャンプ)→左ターン(ずらし)→右ターン(ジャンプ) の繰り返しになります。
スライド&ジャンプ


 


スライド&ジャンプの方法

スライド&ジャンプのターン方法を、順を追って説明します。
ここでは左ターンでズラシを使い、右ターンでジャンプを使う例で説明します。
反対に、右ターンでズラシ、左ターンでジャンプでももちろんかまいません。
各自やりやすい方で結構です。
右利きの人は足も右足が利き足になるので、右足が外足になる左ターンでズラシを入れ、左足が外足になる右ターンではジャンプするのがやりやすいでしよう。
左利きの人はこの逆になります。


1. まず、左ターン(右脚が外脚)でズラシてコブの頭から溝へ落ちます。
このとき、スキーを大きく横に振っても OK ですが、タイトな直線的ラインでスキーをずらすよう意識してください。
コブのラインの外側からスキーを巻き込むようにするのではなく、横のスペースはとらずに、できるだけラインの内側でずらします。

バンクを利用した滑りのように横に大きく膨らんだ滑りだと次のジャンプが難しくなります。
スライド&ジャンプ













スライド&ジャンプ











2. ズラシて溝に落ち、コブにぶつかったら右ターン(左脚が外脚)で次のコブまでジャンプします。
このときコブの頂点に着地すると、着地のショックが少なくて楽です。

スライド&ジャンプ














3. ジャンプして次のコブに着地したら、次の左ターン(右脚が外脚)でズラシてコブの頭から溝へ落ちます。
以後上記1からの繰り返しになります。
スライド&ジャンプ














 


ラインの中心を横にずらす
この滑りのキーとなるポイントは、滑るラインの中心点を少し横にずらすことです。
上記のように左ターンでズラシ、右ターンでジャンプする場合は、コブの滑走ラインの中心点が少し左側にずれることになります。
ズラシはコブのラインのできるだけ中心部を滑り、縦にスライドするようにします。
いっぽう、ジャンプは少しサイドに飛ぶとやりやすいでしょう。
コブの肩より少し外側のコブの頂点に着地すると、次のスライドに楽に入れます。

スライド&ジャンプのライン





















スライド&ジャンプはなぜスピードに強いのか
この滑り方は楽にコブの滑走スピードを上げることができます。
スピードに強い理由は3つ。

理由1. ズラシでスピードコントロールができる
理由2. ジャンプの着地でスピードコントロールができる
理由3. コブにぶつかるショックが非常に少ない。(そのためパワーが少なくてすみ、体力的にも楽です)

また、この方法は、スピードオーバーになったときの減速にも使えます。
スピードオーバーになったとき、「ジャンプ→ズラシ→ジャンプ→ズラシ」と2セット(計4ターン)いれることにより、だいたい許容範囲のスピードに減速できるでしょう。
でも、後傾になってしまった場合は使えません。



ターンの質を高く見せる工夫
ジャンプとズラシの繰り返しなので、カービングの要素はゼロです。
確かにターンの質は低くなると言わざるをえません。
そのため、ターンの質を高く見せる工夫が必要になります。

工夫1. ズラシでは、コブの頭でスキーをいっきに横に振らず、コブの頭から溝に落ちていく間に少しずつスキーを横に振るようにしましょう。
ブーツを中心としたビポットでスキーを振るより、トップを支点にしてテールを少しずつ横にずらすようにするといいでしょう。
これにより、一見カービングに近い滑りに見えます。

工夫2. ジャンプではスキーのトップを少し下げて、あたかもコブに接して滑っているように見せるのがポイントです。
ジャンプしたときに、斜面の下から見てスキーのソールが見えるような滑り方はXです。ジャンプしているのがばれてしまいます。
また、ジャンプで着地する際に、コブの頂上ではなく、少し手前に着地すると、飛んでいるのがばれにくいでしょう。

ただ、コブの頂点よりかなり手前に着地すると、着地のショックが大きくなってしまったり、次のスライドターンにも入りにくくなってしまいます。
着地点はコブの頂点より少し手前位がちょうどいいかと思います。


工夫3. スライド&ジャンプの滑り方では、ジャンプのターンの方はスキーを横に回しこまなくても滑れてしまいます。
でも、スライドのターンではコブの形状に合わせてある程度スキーを回しこむ必要があります。
そのため、ジャンプのときにスキーを全く回しこまないと、スライドのターンではスキーを回しこみ、ジャンプのときにはスキーを回しこまないという左右ちぐはぐのターンに見えてしまいます。
ですので、ジャンプのターンではスキーを意識的にある程度回しこんだ方がいいでしょう

実際にはスキーを横に回しこむ必要性は少ないのですが、スキーを回しこんだ方が、しっかりとターンしているように見えます。

このように、いかにして普通にターンしているように見せるかがポイントです。



トロイ・ベンソンの脅威のスライド&ジャンプ テクニック
スライド&ジャンプの見かけを良くするテクニックに長けていたのは、元 US ナショナルチームのトロイ ベンソンです。
ショーン スミス同様、彼もまたスピードにはめっぽう強かったです。
ビデオをスロー再生してみて、彼がスライド&ジャンプをしているのが初めてわかるくらいでした。
それだけトロイ ベンソンのスライド&ジャンプのテクニックは普通の滑りと見分けがつきにくい滑りだったのです。

正当派の滑りではありませんが、極めれば大きな武器になるという良い例だと思います。



スライド&ジャンプが難しいコブ斜面がある
コブのラインや形状により、このターンテクニックでは滑りにくい場合があります。
例えば、コブとコブの間隔が広い間延びしたコブでは、ジャンプした際に次のコブまで届かず、かえって滑りにくくなってしまいます。
その反対に、タイトで細かいラインコブでは、高速、楽、省エネで滑ることができます。

また、コブの形状によってはズラシが難しい場合があります。
特にスキーを真横に振ってずらす必要がある形状のコブで、このテクニックを使うのは難しいです。

スライド&ジャンプが難しいコブ斜面では、無理に使わないほうがいいでしょう



質の高いターンとは?
この滑りを覚えると、「質の高いターンの定義とはいったい何なのか?」という疑問がわいてきます。
スライド&ジャンプは、楽に速く滑れるので、「コブを利用した効率的な滑り方」と言っていいのかもしれません。

ですが、質の高い滑りというには抵抗があります。
やっぱりスキーのトップからターンを始めるカービングターンのほうが体力的に疲れますが、質の高いターンになると思います。
「効率的=ターンの質が高い」とは必ずしも言えない場合があるようです。




※この滑り方をすると、左右のターンでちぐはぐのコブのラインができてしまう原因になります。
そのため、整備されたモーグルコースや、有志の方が作ったコブのラインではこの滑り方は控えた方が良いかと思います。





おわり


◆目次はこちら










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目次
INDEX

下の各項目からもご覧いただけます
コブの滑り方
■ 脚は少し曲げておく
■ 目線は重要
■ かかと加重を重視
■ スタンスと前後差
■ 基礎スキーヤーがモーグル的に滑るには
■ 吸収動作を長くキープ
■ モーグルのストックワーク (1)
■ モーグルのストックワーク (2)
■ モーグルのストックワーク (3)
■ スイッチバック
■ 背筋を伸ばす
■ 秘技!! スライド&ジャンプ
■ 吸収動作が必要なわけ
■ 吸収動作によるスピードアップ
■ 1つの動作で吸収と先落としをする
■ 吸収はヒザを意識する
■ 吸収動作による前後のバランスの調整
■ 吸収を行わない滑り方
■ 肩の逆ローテーション
■ ダブルストック
■ 縦の溝コブで減速
■ コブの溝でスキーをたわませる
■スキーの先落としと関節の動き
■吸収と伸ばしのタイミング
■ 足首の角度とポジションの関係
■ 左右非対称のコブとスライド
■ レベルによるストックワークの違い
■ スキーの先落しの角度とスピードコントロール
■ 静かなストックワーク
■ ボール状の凹みを通るライン
■ 外側の肩を下げる動きについて
■ スキーの縦の動きと練習について
■ コブ初心者 (1) どこを通る?
■ コブ初心者 (2) フォールライン方向にずらす
■ コブ初心者 (3) 上体をフォールライン方向にキープ
■ コブ初心者 (4) 脚のかまえ
■ コブ初心者 (5) それではコブを滑ってみよう・前編
■ コブ初心者 (6) それではコブを滑ってみよう・後編
■ コブ初心者 (7) スキー板と練習するコブ斜面
■ 春の巨大コブを省エネで滑る方法
■ 滑り方によって変化する谷回りと山回り
■ コブ中級者への道 (1) プロペラと逆ひねり
■ コブでおじぎを防ぐには
■ コブ中級者への道 (2) スライドする方向を変える
■ コブ中級者への道 (3) コブでスキーが開いちゃう
■ 上体を前に移動させる
■ コブ頂点のポジション
■ 基本ポジション
■ コブの滑り方で変わる前傾角度
■ 腰と下っ腹の意識
■ 先落としにトライしてみよう Part 1
■ 先落としにトライしてみよう Part 2
■ コブの衝撃に強いポジション Part 1
■ コブの衝撃に強いポジション Part 2
■ 腕の構え
■ コブで動きを止めない滑り Part1
■ コブで動きを止めない滑り Part2
■ ストックワークと腕の動き
■ コブに乗り上げていくところの脚の動き
■ コブを片足で滑ってみる
■ 重心とスキーの回転
■ パウダーとコブの共通点 Part 1
■ パウダーとコブの共通点 Part 2
■ スキーのたわみでコブから受ける衝撃をやわらげる
■ 負の連鎖 Part 1
■ 負の連鎖 Part 2
■ 負の連鎖 Part 3
■ 負の連鎖 Part 4
■ テールジャンプ Part 1
■ テールジャンプ Part 2
■ テールジャンプ Part 3
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