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コブやモーグルについて思ったことをダラダラとつづっています。
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今年(2018年)の5月にオーダーメイドインソールを新調したので、今回はそのことについて書いてみようと思います。

インソールを新調したのは今から半年ほど前になりますが、先日(2018年12月)、今シーズンの初すべりに行ってきました。
それで、ようやく新しいインソールを実際にスキーで使ってみることができたわけです。

新調したインソールは、「オルソティック」という医療用インソールです。
オルソティックのインソールは5年ほど前から使用していて、今回は2代目となります。

初代のオルソティックについては以下の記事をご参照ください。
●オーダーメイド インソール その1
●オーダーメイド インソール その2

オルソティック作成と使用にいたったいきさつ等については、上記の記事に記載しましたので、今回は以前とは変わった点を主に書いていきますね。

「以前と変わった点」と言ってもいろいろあって、何から話していけばいいのか迷ってしまいますが、まず最初に自分の脚の状態から話してみますね。




◆ヒザの具合について
私はヒザに「変形性膝関節症」という持病を抱えているということを以前の記事で書きました。

はじめのうちはインソールを使うことでヒザの痛みが無くなったことを喜んでいましたが、月日がたつにつれ「ヒザが痛くないのがあたりまえのこと」のように感じてきていました。
人間の記憶や感情というのはいい加減なものですね。(おっと、自分だけか)

そして、痛みが無くなったことをいいことに、以前と同じように趣味のテニスを楽しんでいたところ、ヒザの痛みが再発してしまいました。
ヒザをまったくかばっていなかったので、自業自得です。

どうしたもんかと思いながら、自宅の最寄り駅の近くにある整形外科の病院に行ってみました。
その整形外科はスポーツ外傷のリハビリに実績がある病院なので、「テニスとスキーは以後禁止!」みたいに言われることはないんじゃないかという期待もありました。

問診やレントゲンの結果、ヒザの症状は「ジャンパー膝」という診断でした。
以前に行った大きな総合病院でレントゲンを撮ったときは「変形性膝関節症」という診断でしたが、それは誤診とのことです。
私は医療分野についてはまったくの素人なので、どちらの診断が正しいのかわかりませんが、「変形性膝関節症」より「ジャンパー膝」のほうがなんとなく軽い症状のような気がするので、「ジャンパー膝」のほうを信じたいと思っています。

現状としては無理しなければという条件付きではありますが、スキーを続けられている状態です。



◆インソールを新調した理由
5年前から使っていたオルソティックのインソールには十分すぎるくらい満足していました。
また、製品自体まだまだあと何年も使用できるくらいの耐久性はあると思います。

ただ、年月とともに足(脚)の状態は変化していくそうなので、新しくインソールを作ってみることにしました。



◆作成
今回インソールの作成をお願いしたのは、東京新橋にある「東京ポダイアトリー」さんです。

こちらの先生には、5年前にオルソティックのインソールを作成していただいたときにもお世話になっています。
当時は、お父様が主治医をされている千葉県成田(現在は茨城県竜ケ崎)の Top-Runさんで、助手をされていました。
その後、先生はオーストラリアで足科医師として勤務されていて、最近日本に帰国して新橋で開業されました。


ここからは、インソールを作成したところを簡単に話してみますね。

注:私はインソールについては素人なので、もしかしたら記載内容に誤りがあるかもしれません。その点はご了承ください。 インソール作成の流れをおおざっぱに把握するくらいの感覚で読んでいいただければと思います。


まず診察ですが、立ち方や歩き方、横になって体重をかけていない状態など、さまざまな状態で脚(足)を診ていきます。
また、センサーで足の裏の荷重配分なども計測します。
かなり時間をかけての診察になりますが、これは前回、5年前にオルソティックを作成した時とだいたい同じような印象でした。

その後、いよいよインソールの足形をとります。
3Dの足形データーをとることができるスキャナーを使用しましたが、この機械、前回はありませんでした。
先生が足を両手でホールドして、グッとひねった状態で足形をスキャンします。
これは、理想に近い状態に足をひねっておいて、その状態で足形をとるそうです。
かなりひねっていたので、たぶん私の足は理想とはかけ離れているということなんだと思います。

この足をひねる工程は 3Dスキャナーなどの先進機器があってもできないところなので、足医師としての知識と経験が必要な部分ではないかと思います。

あと、3Dスキャナーだけでなく、前回と同様に座った状態でフォームに足を入れて足形をとる方式も行いました。
このときも、足をひねった状態で足形をとります。

その後、インソールを作成するときの処方箋を作成しますが、足の裏が接する面の角度やパッドなどの厚さを微妙に調整していきます。

つまり、足形をとる時に足をひねって調整を加え、さらにインソールを作製する工程でも調整を加えていくという2段構えの調整が行われます。
これらの調整で、インソールの足形はより理想に近い型になっていきます。


さて、これで終わりではなく、ここからさらにインソールを構成する材質やパーツを選んでいきます。

前回5年前にオルソティックを作成した時は、インソールの実物はニュージーランドの工房で作製されていましたが、今回はアメリカの Footmaxx 社での作製に変更されていました。

このFootmaxx 社は、インソールのパーツの材質や形状を多数取り揃えていて、用途や要望によって無数の組み合わせが可能です。

私は今回も、スキー用普段の生活で使用する一般履き用の2セットのインソールを作成してもらったのですが、特にスキー用にはかなり細かい要望を聞いてもらいました。 (この細かい要望については次の項でお話ししますね)

以上で終了です。
あとはインソール完成まで約3週間、楽しみに待ちます。



◆完成したインソール
左の黒いインソールがスキー用で、右の茶色のインソールが一般履き用です。





一般履き用は特別な要望はなかったので、材質などの細かな仕様はほぼおまかせでした。

スキー用の方はいろいろと先生に相談させていただき、かなり特別仕様になったのではないかと思います。

では、スキー用のインソールを見てみますね。



●表面の素材


足の裏が接する表面の素材は、わりとツルッとしたものを選びました。
これは、抵抗が大きくひっかかりがある素材だと、ブーツを履くときに足が入りづらく、場合によってはソックスがよれてしまうことがあるからです。

ソックスがよれてしまうと、そのシワになった部分が当たって痛くなることがあります。
ツルッとした素材であれば、ブーツを履くときにスッと足が入り、ソックスがよれてしまうことは少なくなります。
また、仮にソックスがよれていたとしても、インソール表面の素材にひっかかりが無ければ、滑っているうちによれている部分がなくなるのではないかと思います。


●衝撃を吸収する素材


外からは見えないのですが、カカトの部分に PORON XRD (ポロン エックスアールディー)という衝撃を吸収する材質が入っています。

実際に目の前で見せてもらったのですが、このPORON XRD の薄いシートを床に置き、そこにゴルフボールを落とすと、ゴルフボールは弾まずにピタッと止まります。

このPORON XRD については、以下の動画もご参照ください。




この衝撃を吸収する材質は、一般履き用には全面に使用してもらいました。


衝撃を吸収する素材なので、スキーでコブを滑るような、衝撃が大きい場面では有効になります。

そのいっぽうで、ランニングシューズのように反発力が求められるような用途には向いていないように思います。

また、衝撃を吸収するということは、スキーのときは「足の裏に感じる感覚」が少なくなってしまうことになります。
そのため、カリカリに凍った斜面を滑るアルペンレースのような用途には向いていないように思います。

私の場合、スキー用のインソールには、コブにぶつかった時の衝撃吸収を考えて、カカトの部分だけにこの素材を入れてもらいました。
つまり、カカト以外にはこの衝撃吸収材が入っていないので、カカト以外の部分の足の裏の感覚は損なわれないことになります。



●ヒールカップのドーナッツ状の穴
私は若かりし頃に、エアの着地でカカトの骨を骨折したことがあります。
そのときは着地に失敗したわけではありませんでしたが、着地した場所が凍っていて、なおかつ斜度が少なかったため、衝撃をまともにくらってしまいました。
着地の衝撃が脳天までビリビリと響いた感覚を、今でも覚えています。

近年は昔に比べて滑りがおとなしくなりましたが、それでも硬いコブを何本も滑ると、カカトがヒリヒリと痛むことがあります。
そのため、ブーツのカカトの部分にはある程度は衝撃をやわらげるクッションが必要だと思っています。

私が今使っているブーツは、フットベット(ゼッパ)全体がゴムでできていて、クッション性があります。


でもここで、インソールに硬い素材を使ってしまうと、このフットベットのクッション性を活かすことができません。
反対に、インソールに柔らかい素材を使ってしまうと、ある程度の力を加えるとインソールの型が変形してしまいます。

特に土踏まずからカカトにかけての部分は(たぶん)インソールのキモともいえる大切な部分なので、強い力がかかっても型崩れしない丈夫な材質を使う必要があります。
ただそのいっぽうで、丈夫な材質を使うと硬くなり、クッション性が犠牲になってしまいます。

この矛盾する点を先生に相談したところ、インソールの骨子になっている丈夫な素材のカカトの部分にドーナッツ状の穴が開いているものを使用するという提案をいただき、それを採用することになりました。

↓インソール内部の堅く丈夫な素材に、500円玉くらいの大きさのドーナッツ状の穴があります。


つまり、強い力を受けてもインソールの型がキープでき、そのいっぽうでカカトに受けた衝撃はドーナッツ状の穴を通ってゴム製のフットベットに逃がすことができることになります。
これにより、型崩れしない強度と、衝撃をやわらげるクッション性という、相反する2つの要素を両立することができます。




◆インソールを使用してみた感じ
まず普段履き用のインソールですが、これを入れた靴を始めてはいたときは、かなりの違和感がありました。 
具体的には、土踏まずの後ろの方が突き上げられているような感覚です。

このように違和感が大きいという事は、それだけ自分の足が本来あるべき姿からかけ離れているという事なのかもしれません。

スキーブーツの方をはいてみると、同様な違和感がありました。
そのいっぽうで、足の裏の感覚がビシビシと伝わってくる敏感さもあります。
どのように敏感なのかと言うと、ブーツのエッジというかソール面の角の部分が明確にわかる感じで、一般的な柔らかいインソールには無い感覚です。
これは5年前に作ったオルソティックでも同じなのですが、土踏まずからカカトにかけて強度のある硬い素材を使用しているからではないかと思います。

いっぽう、土踏まずから前の母指球からつま先にかけての部分は、硬い素材が使われていないので、この部分の感覚は敏感ではなく、一般的なインソールと同じです。



この母指球からつま先にかけての部分にも硬い材質を使用することができるそうです。
でも、インソール全面が硬くて曲がらない素材だと、インナーにインソールを入れる時、またはシェルにインナーを入れる時に不都合があるかもしれないと思い、今回は通常どおり土踏まずから前の部分は柔らかい素材を使用しました。

土踏まずから前の部分にも硬い素材を使用していれば、さらに足の裏の感覚が敏感になったのかもしれません。
今思えば、そのくらいの冒険をしてみてもよかったのかな、という気がしています。


さてその後、いつもの生活で使用している普段履き用のインソールにはかなり慣れてきて、今では違和感はほとんど無くなってきています。

スキーブーツの方は、シーズンオフの期間にできるだけ多くの時間「ならし履き」をするよう心がけていました。
ただ、普段履き用とは違い、スキーブーツにはある程度の締めつけがあるので、20分くらい履いていると足の裏が少ししびれてくるような感覚があったので、ちょっと心配でした。


で、先日、スキーの初すべりで使ってみました。
「足がしびれちゃったら、今まで使っていたインソールにとりかえればいいや」と思って、以前のインソールをウェアのポケットに忍ばせてゲレンデに向かいました。

滑っている最中は楽しくてインソールのことはすっかり忘れていたのですが、帰りの車の中で「あ、そういえば新しいインソール使ってたんだ」と気づきました。
つまり、それくらい違和感はなかったということです。

心配していたような足の裏がしびれてしまうことは無く、以前使っていたインソールと同じような感覚で滑ることができました。

今後、積雪量が増えてコブを滑るようになれば、クッション性のメリットも生きてくるのではないかと思います。


おわり


◆目次はこちら

























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