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コブやモーグルについて思ったことをダラダラとつづっています。
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いままでのコブの滑り方に関する記事は、どちらかというと断片的で、小ワザや、ある一部分の動きにフォーカスしたものが多かったように思います。

今回はもっと総括的に、コブを滑る全体の流れで考えてみたいと思います。

体のパーツの個々の動き自体はできていても、それを使うタイミングが誤っていると、なかなか良い滑りにはなりません。

凹凸に合わせて個々のパーツの動きをタイミング良く連動させていくのが、コブ斜面の難しいところで、おもしろいところだと思います。

注:ここから先しばらくは「ちょっと長い前おき」になります。
てっとり早くエッセンスの部分をお読みになりたい方は、下の方にある「吸収と伸ばしのタイミングの実践」のところまでワープしちゃってください。




◆スキーの神様おりてきてぇー!

スキーの上達のスピードは一定ではありません。
低迷期というのでしょうか。
たくさん練習してもなかなか上達しない期間が長く続くことがあります。

そしてある時、ふと違うイメージで違う動きを試してみたところ、それがハマッて、急にスキーが上達することがあります。

スキーをしていて、
「あ!これだ! こうすればいいんだ!」
と思った瞬間が、だれにでもあると思います。

「おー。ついにきたー。スキーの神様が降りてきたぁー!!」
という瞬間です。

私は運動音痴なため、低迷期ばかりやたらと長く、スキーの神様には無視され続けています。

そんな私でも、今から4年ほど前に、神様の後ろ姿がチラリと見えた気がしたことがありました。
それは、コブ斜面の滑り方のタイミングを変えてみた時のことなのですが、それ以降、滑りの根本の部分が大きく変わったと思います。




◆脚の曲げ伸ばしの誤ったイメージ

何を変えたのかというと、「コブの頂点付近で吸収する」というイメージにしてみたことです。

◆以前のイメージ
以前私は、コブの落ち込む部分(下り)で脚を伸ばし、コブの受ける部分(上り)で脚を曲げて吸収というイメージでした。

↓このようなイメージです。


下りで伸ばして、上りで吸収。普通に考えればこれで合っているように思うのですが、このイメージだと脚の曲げ伸ばしのタイミングが私には合わないのです。


◆変えてみたイメージ
そこで、いろいろなタイミングで伸ばしと吸収を試してみました。
結果、「コブの頂点付近で吸収する」というイメージに変更してみたところ、うまい具合にタイミングが噛み合うようになりました。
↓このようなイメージになります。



コブの上りの終わりに近くなったところで吸収し、コブの頂上を過ぎてコブの裏側(下り)までしつこく吸収を続けます。

脚を伸ばすタイミングは遅めで短いです。
コブの溝の底の手前であたりで伸ばし、上りの中腹あたりまで伸ばしをキープする感覚です。


このイメージだとスキーがなぜかスムーズに動くのですが、なんか、釈然としませんねぇ。

そこで、なぜこのようなイメージだとタイミングが良くなったのかを考えてみました。

結論から申しますと、私の感覚では「脚の曲げ伸ばし=ヒザ関節の曲げ伸ばし」だからです。

スキーの脚の曲げ伸ばしは、股関節ヒザ関節の2つの関節で行います。
足首はブーツでほぼ固定された状態なので、足首の動きは考慮しなくていいと思います。(足首は常に曲げた状態をキープ)

私の場合、股関節はコブの凹凸でわりとオートマチックに動きます。

コブの受ける部分(上り)になると、コブから受ける圧力によって股関節は自然と曲がります。(股関節が曲がるのに同調して、ヒザ関節も同じ角度自動的に曲がります)
また、コブの頂点を越えて落ち込む部分では、下腹を前に出していく前圧をかけ続けていると、股関節は自動的に伸びるように動きます。

そのため、股関節の動きは滑っている時は、あまり意識していません。

その結果、私の場合、タイミングを意識して動かしていくのはヒザ関節の曲げ伸ばしということになります。



◆吸収と伸ばしのタイミングの実践

前おきが長くなってしまいました。すみません。

ここからは、実際にコブの凹凸でどのように動いていくのかを考えてみます。

1. コブの落ち込む部分(下り)

ここでは脚をのばしていく部分というのが一般的な認識だと思います。
いっぽう私の場合は、股関節は伸ばして、ヒザ関節は曲げたままキープしています。


この落ち込む部分では、スライドして減速する場合はヒザと股関節両方を伸ばしながらエッジングしますが、今回はスライドさせない滑り方を主眼として説明していますので、ヒザ関節はまだ曲げたままです。

この下りの部分でヒザ関節を伸ばしてしまうと、スキーが体の下より前の方に行ってしまい、上体が遅れてしまうことがあります。
また、スキーのテール寄りの加重になってしまうのも、後傾の原因になります。

さらに、ヒザを曲げておくことにより、溝の底でヒザを伸ばして踏み込んでスキーをたわませることができます。

その他に、スピードオーバーになってしまったリカバリー方法としては、曲げていたヒザをコブの受ける部分で瞬間的に伸ばし、強いヒールキックにより減速することができます。


落ち込む部分での加速
コブの落ち込む部分でしっかり加重することにより、加速することができます。

ですが、私のような一般スキーヤーのレベルではスピードはそれほど速くないので、落ち込む部分でスキーに加重して加速するイメージはあまりありません。
そのため、落ち込む部分では、積極的に脚を伸ばしていくより、先落しや重心が浮かないようにする方を重視して、ヒザ関節はあえて伸ばさないようにしています。
コブの落ち込む部分で加重はしますが、それは、ターンの始動やターン弧のコントロールが主な目的で、加速はあまり意識していません。
また、ターン始動後のスライドやジャンプなどのリカバリーをしやすくするためでもあります。
自転車に例えると、いつでも減速できるように、常にブレーキに手をかけておくような感じになります。
私の場合、加速したい時はコブの落ち込む部分の加速はあまり意識せず、コブの上りの部分でショックを受けて減速しないように、できるだけ速く大きく吸収することを重視しています。

下手な私にはわかりませんが、たぶんレベルの高いモーグラーの場合は、コブの落ち込む部分で加重して加速するのを意識しているのかもしれません。


2.溝の底

この部分でヒザ関節をグッと伸ばして、スキーを溝に押し込みたわませます。

直線的に深いコブを滑る場合は、溝の底にはスキーは接していない場合が多くなります。

スキーのテールが後ろのコブの落ち込む部分に接していて、なおかつスキーのトップが次のコブの受ける部分に接していれば、以下のイメージのように接雪していなくてもスキーをたわませることができます。

            

溝の部分でスキーをたわませることにより、コブの受ける部分での衝撃をやわらげることができます。

ただ、間隔が広いコブの場合は、後ろのコブと次のコブの距離が広すぎるため、スキーで溝を橋渡しできず、スキーをたわませることが難しくなります。


スキーをたわませることについての詳細は「コブの溝でスキーをたわませる」のページもご参照ください。


3.コブの受ける部分(上り)

この部分では股関節を曲げる吸収動作になります。

私の場合は、コブの受ける部分で圧力を受け、股関節が自動的に曲がるので、吸収動作をしている意識はあまりありません。



ポジションが悪くなければ、股関節が曲がるのに従い、股関節と同じ角度だけ自動的にヒザ関節が曲がります。
ポジションが悪い場合、例えば後傾でスキーが前にすっぽ抜けてしまった場合は、ヒザ関節は伸びてしまいます。 また、前傾オーバーでコブの衝撃で上体が前につぶれてしまった場合にも、股関節は曲がりますが、ヒザ関節は曲がりません。
このようにポジションが前後にぶれている場合は、股関節と同調してヒザ関節が曲がることはないので、自らヒザ関節を曲げてポジションをリカバリーする動きが必要になります。

ポジションに問題がなければ、上りの前半はヒザ関節は自ら曲げていく段階ではないので、まだ脚を曲げるイメージではありません。

この上りの部分で早くヒザ関節を自ら曲げていってしまうと、股関節の曲がる角度より大きな角度でヒザ関節が曲がってしまうことが多くなります。この場合ヒザが曲がりすぎてスキーのトップに圧力がかかりすぎ、スキーが前につまってしまって、前にバランスをくずしてしまいます



その反対に、コブの上りの部分でわざとヒザ関節を伸ばしてスキーを前に送り出すような滑り方もありますが、私はほとんどスキーを送り出す操作は行いません。
スキーを前に送り出す操作をしてしまうと、すねをブーツのタンに押し付けて前圧をかけている圧力がなくなってしまいます。

足首を曲げる前圧が無くなってしまうと、コブの頂点でスキーのトップが落ちる圧力が弱くなってしまいます。

また、伸ばしてしまったヒザ関節をコブの頂点で大きく曲げなければ(ブーツを大きく後ろに引かなければ)、先落としができなくなってしまいます。

コブ斜面をゆっくり滑っている場合は、それでも問題ありませんが、ある程度以上のスピードを出して滑る場合は、ヒザ関節を大きく動かさなくてはならないので、速いてんぽに大きな動きがついていけなくなってしまいます。

コブの上りではヒザ関節は伸ばさないようにして、足首を常に曲げた状態をキープし、すねの前圧を逃さないようにしています。


4.コブの頂点

私のイメージでは、コブの頂点にさしかかる少し手前でヒザ関節を自ら曲げていきます。

だいたい受ける部分を 80%位上ったあたりでヒザ関節を曲げる感じだとスムーズに滑れるように思います。


実際にはコブの頂点直前でヒザ関節を曲げるのが正しいのかもしれませんが、脳から「曲げろ」の信号を出してから実際にヒザが曲がるのにはわずかながらタイムラグがあります。
そのため、ちょっとだけ早めに曲げる意識が良いのかもしれません。

ヒザを自ら曲げていくのが早すぎると、スキーのトップが前につまって、前にバランスを崩してしまいます。

また、ヒザを曲げるのが遅すぎると、コブで上へ持ち上げられる時間が長くなり、少し空中に浮いてしまいます。

スピードが上がれば上がるほど、このコブの頂点でヒザを曲げるタイミングが難しくなってきます。

実際の動きとしては、溝の底からコブの受ける部分に入ったところで股関節を曲げ(前後のポジションに問題がなければ、股関節を曲げたのと同じ角度でヒザ関節が自動的に曲がります)、次にコブの頂点にさしかかったところでヒザ関節を自ら曲げていきます。

コブ斜面をゆっくり滑っている場合は、「上りで股関節を曲げて、頂点付近でヒザ関節を曲げて」と意識して動かすことができます。

しかし、ある程度以上スピードが出てしまうと、溝の底からコブの頂点までコンマ数秒以下の超短時間しかないので、とてもそんな複雑なことはできません。

解決策として、私は股関節はコブの圧力で自然と曲がるのにまかせ、ヒザ関節を曲げるタイミングのみに意識を集中するようにしています。


5.コブの頂点を越えた部分

コブの頂点を越えた部分では、まだヒザ関節は曲げたままキープです。

コブの頂点でヒザを曲げるのが遅れてしまった場合は、頂点を越えた部分でもさらに曲げていきます。




股関節はコブの頂点を越えた直後に伸ばし始めます。

コブの形は頂点付近はわりと平坦で、落ち込みの角度はきつくありません。
一方、溝の底に近くなるほど落ち込みの角度は急になります。

そのため、コブの頂点を越えた部分で一気に股関節を伸ばしてしまうと、伸び上がり抜重のようになり、重心が上に浮き上がってしまいます。
重心が浮き上がってしまうと、溝でスキーを踏み込むことができなくなってしまいます。
コブの頂点を過ぎたあたりでは、あまり早く股関節を伸ばしてしまわない方が良いです

例外としては、ビッチが狭く深いコブを直線的に滑る場合は、コブの頂点をのりこえたらすぐに急激に落ち込んで溝にさしかかるので、この場合は積極的に股関節を伸ばして腰の位置を前方に動かしていった方が良いと思います。


この後は、上記の「コブの落ち込む部分(下り)」に戻り、以後繰り返しになります。


まとめ:

股関節は一般的なイメージどおり、下りで伸ばして上りで曲げる。(私の場合は自動的に動くので、あまり意識していません)


ヒザ関節は、溝の底付近で伸ばして、コブの頂上付近で曲げる。(私の場合はこの動きのタイミングにフォーカスして滑っています)





実際の動きと、その動きによる効果としては、コブに当たってコブの圧力で股関節が自然に曲がり、股関節が曲がる角度に合わせて同じ角度だけヒザ関節が自動的に曲がります。(ポジションが前後にぶれている場合はヒザ関節は自動的に曲がりません)。
このコブに当たった時の股関節の動きはコブから受けるショックを吸収する働きがあります。

次にコブの頂点よりちょっと前の段階でヒザ関節を曲げていく動きを自ら行っていきます。
このヒザ関節の動きは、コブが落ち込む角度に合わせてスキーの前圧を強めてスキーを先落としするための動きになります。



◆イメージと現実のズレ

速いてんぽでコブを滑る場合、私自身の脚の曲げ伸ばしのタイミングのイメージと、実際に行っているタイミングには誤差があるかもしれません。

また、これを読んでおられる方と、私が感じている感覚にもズレがあると思います。

そのため、上記のタイミングのイメージは私固有のもので、あなたのイメージとは異なっているかもしれません。

ですので、自分に合った脚の曲げ伸ばしのタイミングを探る場合は、脚の曲げ伸ばしのタイミングを少しずつずらしながら滑ってみると良いかと思います。

良いタイミングで脚を曲げ伸ばしできれば、コブの凹凸に沿ってスキーがスムーズに動くと思います。



おわり


◆目次はこちら

















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目次
INDEX

下の各項目からもご覧いただけます
コブの滑り方
■ 脚は少し曲げておく
■ 目線は重要
■ かかと加重を重視
■ スタンスと前後差
■ 基礎スキーヤーがモーグル的に滑るには
■ 吸収動作を長くキープ
■ モーグルのストックワーク (1)
■ モーグルのストックワーク (2)
■ モーグルのストックワーク (3)
■ スイッチバック
■ 背筋を伸ばす
■ 秘技!! スライド&ジャンプ
■ 吸収動作が必要なわけ
■ 吸収動作によるスピードアップ
■ 1つの動作で吸収と先落としをする
■ 吸収はヒザを意識する
■ 吸収動作による前後のバランスの調整
■ 吸収を行わない滑り方
■ 肩の逆ローテーション
■ ダブルストック
■ 縦の溝コブで減速
■ コブの溝でスキーをたわませる
■スキーの先落としと関節の動き
■吸収と伸ばしのタイミング
■ 足首の角度とポジションの関係
■ 左右非対称のコブとスライド
■ レベルによるストックワークの違い
■ スキーの先落しの角度とスピードコントロール
■ 静かなストックワーク
■ ボール状の凹みを通るライン
■ 外側の肩を下げる動きについて
■ スキーの縦の動きと練習について
■ コブ初心者 (1) どこを通る?
■ コブ初心者 (2) フォールライン方向にずらす
■ コブ初心者 (3) 上体をフォールライン方向にキープ
■ コブ初心者 (4) 脚のかまえ
■ コブ初心者 (5) それではコブを滑ってみよう・前編
■ コブ初心者 (6) それではコブを滑ってみよう・後編
■ コブ初心者 (7) スキー板と練習するコブ斜面
■ 春の巨大コブを省エネで滑る方法
■ 滑り方によって変化する谷回りと山回り
■ コブ中級者への道 (1) プロペラと逆ひねり
■ コブでおじぎを防ぐには
■ コブ中級者への道 (2) スライドする方向を変える
■ コブ中級者への道 (3) コブでスキーが開いちゃう
■ 上体を前に移動させる
■ コブ頂点のポジション
■ 基本ポジション
■ コブの滑り方で変わる前傾角度
■ 腰と下っ腹の意識
■ 先落としにトライしてみよう Part 1
■ 先落としにトライしてみよう Part 2
■ コブの衝撃に強いポジション Part 1
■ コブの衝撃に強いポジション Part 2
■ 腕の構え
■ コブで動きを止めない滑り Part1
■ コブで動きを止めない滑り Part2
■ ストックワークと腕の動き
■ コブに乗り上げていくところの脚の動き
■ コブを片足で滑ってみる
■ 重心とスキーの回転
■ パウダーとコブの共通点 Part 1
■ パウダーとコブの共通点 Part 2
■ スキーのたわみでコブから受ける衝撃をやわらげる
■ 負の連鎖 Part 1
■ 負の連鎖 Part 2
■ 負の連鎖 Part 3
■ 負の連鎖 Part 4
■ テールジャンプ Part 1
■ テールジャンプ Part 2
■ テールジャンプ Part 3
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