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コブやモーグルについて思ったことをダラダラとつづっています。
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今回からいよいよ、コブを滑る実戦になります。

「初心者がコブを完走できるようになるには」の第1回から4回では、コブの通り道や滑るときのポジションなどを見ていきましたが、実際に滑ってみると思うようにいかないところが必ず出てきます。

ここでは、コブの局面ごとにどのように動いていくかに加え、その局面で初心者が陥りやすいミスとその対策についても見ていこうと思います。


今回は実践編となり、前回までの内容の続編になります。
前回までの内容を読んでいないと、しっくりこない部分がでてくると思います。
まだ読んでいないかたは以下のページを先に読むと、理解しやすくなると思います。

第1回 どこを通る?
第2回 フォールライン方向にずらす
第3回 上体をフォールライン方向にキープ
第4回 脚のかまえ









◆コブの落ちこむ部分でスライド
コブの落ちこむ部分で、スキーを横に向けてスライドし、コブの溝へ落ちていきます。



まず、この時のスキーを横に振る角度について見てみましょう。


●溝の角度にあわせてスキーを横に向ける
コブを攻略するには、自分の滑りたいように滑るのではなく、コブの形に合わせて滑ることが重要なポイントになります。

コブの落ちこむ部分や溝の角度に合わせてスキーを回していくことで、コブに調和した無理のない滑りになります。

そもそもコブのなりたちは、スキーをずらして斜面を削った雪が堆積してできたものです。


この、ずらして削った雪面と削った雪の堆積の因果関係から、コブの落ちこむ部分の横向きの角度と、溝の角度は一致しています。



そのため、溝の角度を目安にしてスキーを横に向ければ、コブの落ちこむ部分の角度にも合致し、フォールライン方向へのスムーズなスライドが可能になります。




また、コブの形はコブを作ったスキーヤーの滑り方によって変わります
スキーを横に向けてスライドするスキーヤーが多ければ横向きのコブになり、モーグラーのように縦に滑るスキーヤーが多ければ縦のコブになります。

横向きのコブでは、溝の角度に合わせてスキーを大きく横に振ります。


また、縦のコブでは、スキーを横に向ける角度は浅くなります。



●ずらして減速
横向きのコブでは、スキーを大きく横に向けるため、ずらして強く減速することが可能です。

いっぽう、縦溝のコブでは、スキーを横に向ける角度が浅くなるので、ずらしによるブレーキは弱くなり、スピードコントロールは難しくなります。
そのため、縦のコブではよりいっそう強くスキーで雪面を削って減速する意識が大切になります。



●縦コブで十分減速できない場合は
縦コブではスキーを回す角度が浅くなるため、どうしてもズラシで十分に減速できないというケースがでてくるかもしれません。
その場合は、溝やコブの落ちこむ部分の角度以上にスキーを横に向けることも1つの滑り方の選択肢になります。

スキーを大きく横に向けると、コブが落ちこむ部分の横向きの角度にスキーが合致せず、トップが浮いた状態で、スキーのブーツからテール部分だけでスライドする滑り方になります。


この場合は、スキーのテールから先に溝に落ちる滑り方になるので、滑りの連続性やなめらかさは損なわれてしまいますが、強く減速したい場合にはお勧めです。




●スキーを十分に回しこめないと
では次に、スキーを溝の角度まで回せなかった場合を見てみましょう。

スキーを回すのが遅れ、溝の角度よりスキーを横にする角度が浅くなってしまった場合、溝に落ちた時に溝の角度に合わせてスキーが急にグルンと回ってしまいます。






この時、スキーが急にグルンと回ってしまうのにつられて、上体も一緒に回ってしまうミスが起こりがちです。


また、スキーが急に横方向に走ってバランスを崩してしまうことが多くなります。


このような失敗を避けるために、溝に落ちる前までに、溝の角度に合わせてスキーを横に向けておくことが大切になります。



●早めにスキーを回すのがおすすめ
ここで解説している滑り方は、コブの肩でスキーをクルッと回し、横に向けたスキーをスライドして減速する滑り方ですが、コブに慣れて上達してくると、スキーを回しながら同時にスライドする滑りに進化します。

スキーを回すタイミングを少し遅らせ、扇状にスキーをずらして回す滑り方ができるようになります。







このように、扇状にずらした方が、はじめからスキーを横に向けてずらすより、瞬間的に強く減速することが可能になります。
また、スライドしながらターンすることになるので、見栄えが良くなるのと同時に、滑りの快感度もアップします。


ただ、初心者の場合は早めにスキーを横に回した方が良いかと思います。
スキーを回すタイミングを遅らせると、スキーがフォールラインに向いている時間が長くなり、それだけスピードが出てしまいます。
また、回すタイミングが遅れてスキーを十分に回しこめなかった場合、上記のように溝に落ちた時にスキーが急に回ってバランスを崩してしまいます。

そのため、切り替え直後の早い段階に、コブの頭でクルッとスキーを横に向けてしまったほうが、初心者にとっては安全で確実な滑りになります。






●脚を前に伸ばさない
コブの落ちこむ部分でスキーをスライドさせ、溝に落ちていきます。
このとき、脚をフォールライン方向(溝の方向)へ伸ばしてしまう初心者のかたが多いのですが、これが後傾の原因となってしまいます。

脚を前方に伸ばしてしまうのは、いくつかの理由が考えられます。

1.減速しようとして強くスキーを踏みこんでエッジングした結果、脚を伸ばしてしまう
2.コブが迫ってきて、恐くなって脚を前に伸ばしてしまう
3.コブの凹凸に合わせて脚の曲げ伸ばしを行う上手な人の滑りを見習って、コブの落ちこむ部分で脚を伸ばしてしまう


特に3番の「コブの凹凸に合わせて脚の曲げ伸ばし」は、コブの滑り方の要(かなめ)になる重要な動作ですが、初心者にかぎっては脚の大きな曲げ伸ばしは行わないほうが良いのではないかと思います。

スピードを出して滑る中~上級者の場合は、コブの落ちこむ部分でスキーが浮いてしまいやすくなるので雪面コンタクトを保つために脚を伸ばします。
また、コブの受ける部分では強い衝撃を受けるので、そのショックをやわらげるために脚を曲げて吸収する動作が不可欠になります。



しかし、初心者の場合は低速で滑るので、スキーが浮いてしまったり、コブから強い衝撃を受けたりすることはほとんどありません。
そのため、初心者がコブの凹凸に合わせて脚の大きな曲げ伸ばしを行う必要はありません。

それに加え、初心者が大きな脚の曲げ伸ばしをすると、後傾になりやすいというデメリットがありますので、あえて脚の曲げ伸ばしを抑えて滑ることをお勧めします。


では、脚を伸ばすことで、どのようにして後傾になってしまうのかを見ていきましょう。

まず、脚を伸ばして行く方向ですが、体の真下に踏みこむように脚を伸ばすのであればそれほど大きな問題にはなりません。
ですがここで、フォールライン方向に脚を伸ばしてしまうと、脚が前に出て体は後ろに残ってしまうため、後傾になってしまいます。



このような後傾のリカバリーとしては、コブの溝にドンと落ちた衝撃を利用して後傾を元の適切なポジションに戻す方法があります。



コブを滑り慣れたスキーヤーであれば、コブから受ける衝撃がどのくらいの強さなのかを経験則からだいたい予想できます。
そのため、コブの落ちこむ部分では意識的に少し後傾気味のポジションをとり、コブに乗り上げる衝撃でポジションを適切な位置に戻すことが可能になります。



ところが初心者の場合は、コブを滑る経験値が圧倒的に不足しています。
そのため、溝に落ちた時に受ける衝撃が体感的にどれくらいなのかを予測することは、かなり難しくなります。

溝に落ちた時に受ける衝撃が思っていたより小さいと、後傾を元に戻すことができなくなってしまいます。

こうなると、重心が後ろに残ったままになり、結果的に次のターンに入ることができなくなってしまいます。



コブはそれほどでっぱっていない
コブの落ちこむ部分を下って行く時、大きなコブが迫ってくるように感じてしまいますが、初心者の場合は低速で滑っているため、溝に落ちたときに受ける衝撃は思ったほど大きくないというケースが多いのではないかと思います。

また、斜面の上から見ると、コブがそそり立っていて、前に進むのを妨害しているように見えてしまいますが、コブの受ける部分の角度は実際のところ水平くらいのことが多いです。


このブログでは、滑っている時に感じるイメージや説明の便宜上、コブの受ける部分の角度は下の図のように盛り上がっているように描いていますが、本当のところはそんなに上にでっぱっているわけではありません。



つまり、コブを滑っている時に山のように盛り上がっている部分にぶつかるのではなく、実際は水平の部分に落ちることになります。
そのため、低速で滑っている初心者にとっては、コブの溝に落ちた時に受ける衝撃は、見た感じより小さい場合が多いのではないでしょうか。

コブから受ける衝撃が思っていたより小さいと、後傾を立て直すことができなくなってしまいますので、脚を前方に伸ばしてしまうのは控え、スキーを体の下にキープする意識で滑るのが良いのではないかと思います。




●溝に落ちる時は少し脚を曲げておく
重心が前に行きすぎた前傾オーバーの状態で溝に「ドン」と落ちると、上体がガクンと前に倒れます。


この時、ヒザが完全に伸びた状態で溝に落ちると、前に大きくバランスを崩してしまいます。


いっぽう、ここでヒザ関節が曲がっていれば、上体が前に倒れると同時に、ヒザ関節が伸びる方向に動きます。
このヒザが伸びる動きにより、前方にバランスを崩してしまうのを緩和することができます。


そのため、溝に落ちる際は完全に脚を伸ばしてしまうのではなく、適度に曲げた状態にしておくことをお勧めします。
前にバランスを崩しそうになっても、ヒザ関節が曲がっていれば、ヒザが伸びることでバランスを立て直す余裕が生まれます。





◆溝に落ちてコブに乗り上げる




コブの溝に落ちたら、次にコブの上に乗り上げます。



●止まってしまったら
初心者は低速で滑るため、コブの溝に落ちた時に止まってしまうことがあります。

止まってしまうくらいしっかり減速できていることは素晴らしいのですが、溝で止まってしまうとコブの上に乗り上げることができなくなり、スキーを回すことが難しくなります。

コブの溝で止まってしまい、再スタートしようとすると、自然と溝の出口方向へと進んで行ってしまいます。
しかし、溝の出口へ進んでしまうと、スキーを回すのが難しくなってしまうので、コブの肩に乗り上げる方向に進む必要があります。(詳細はどこを通る?のページをご参照ください)

コブの溝で完全に止まってしまった場合は、溝の出口方向へは進まずに、カニ歩きでコブの肩にのり上げましょう。
たいていは1歩か2歩でコブの肩に到達できると思います。




●吸収動作は行わない
コブの受ける部分で脚を曲げる吸収動作の重要性は、このブログの他のページで度々記載しています。
ですが、初心者が低速で滑る場合は、みずから積極的に脚を曲げていく吸収動作を行うと後傾になってしまうため、お勧めしません。

では、なぜ脚を曲げる吸収動作を行うと後傾になってしまうのかを、見ていきましょう。

まず前提として、スキーではブーツで足首が固定されています
これが、ふだんの生活とスキーで大きく異なっている点です。

スキーブーツを履いていなくて、足首が動く状態であれば、下の図のように脚を曲げてしゃがんでも後ろには倒れません。

つまり、脚を深く曲げた状態でも前後のバランスはとれていて、後傾にはなりません。


いっぽう、スキーブーツを履いていると足首が固定されているため、脚を曲げていくと下の図のようにお尻が後ろに下がった体勢になって、後ろへコロンと倒れてしまいます。

これが、脚を曲げると後傾になってしまう原因です。


でも、コブを滑っている人たちは脚を曲げる吸収動作をしてるよ? という疑問がわいてきますよね。

それは、コブを滑っているスキーヤーの多くは、ある程度以上にスピードが出ているので、脚を大きく曲げる吸収動作を行っても、後傾にはならないのです。

スピードが出ていると、コブに乗り上げる時にコブから強い衝撃を受けます。
このとき、上体には前方へ進む慣性(勢い)が働いて、いっぽう脚には衝撃とともにブレーキがかかる形になります。

上体は前へと進み、脚にはブレーキがかかるので、静止している状態では後傾になってしまうポジションでも、スピードが出ている状態では前後の釣り合いが取れたバランスの良いポジションになります。



上の図はスピードを出して滑っている例です。
脚を曲げてお尻が後ろに下がっていて、ここだけの場面を切り取ると後傾に見えます。
ですが、速いスピードで前に進んでいる勢いと、コブから受ける衝撃のため、後傾にはなりません。

いっぽう、このような脚を曲げたポジションを低速で行うと、前へ進む勢いが弱く、コブから受ける衝撃が小さいので、後傾になってしまいます。

そのため、低速で滑る初心者は、みずから積極的に脚を曲げていくことはひかえ、溝に落ちた衝撃で自然と股関節が少し曲がるくらいの受動的な動きにとどめておいた方が良いかと思います。



股関節は曲げてヒザは曲げない?
溝に落ちた時に、ヒザ関節は曲げずに股関節だけを曲げると、上体が前に突っ込んだポジションになってしまいやすいです。


スピードが出ている時に股関節だけを曲げて上体が前に倒れると、腰に強い衝撃を受けたり、目線がぶれたりするため、安定した滑りが難しくなってしまいます。

ここで、股関節と同時にヒザ関節も曲げることで、上体が前に倒れてしまうことを防ぐことができます。



ただ、初心者の場合は低速で滑るので、股関節と同時にヒザ関節も曲げるとお尻が後ろに下がったポジションになり、後傾になってしまいます。

そのため、溝に落ちた時は衝撃で股関節が自然に少し曲がり、上体が少し前に倒れるくらいがちょうど良いのではないかと思います。

つまり、低速で滑る初心者は、コブの凹凸で積極的な脚の曲げ伸ばしは行わず、上体を少し前傾させ、脚を適度に曲げた中間姿勢を保つ意識で滑るのが良いかと思います。





今回は以上になります。
次回の後編では、ストックを突いてターンを切り替える局面について話していきますね。



おわり


◆目次はこちら











◆関連記事
●初心者がコブを完走できるようになるには (その1) - どこを通る?

●初心者がコブを完走できるようになるには (その2) – フォールライン方向にずらす

●初心者がコブを完走できるようになるには (その3)- 上体をフォールライン方向にキープ

●初心者がコブを完走できるようになるには (その4)- 脚のかまえ

●初心者がコブを完走できるようになるには (その6)- それではコブを滑ってみよう・後編

●初心者がコブを完走できるようになるには (その7)- スキー板と練習するコブ斜面



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目次
INDEX

下の各項目からもご覧いただけます
コブの滑り方
■ 脚は少し曲げておく
■ 目線は重要
■ かかと加重を重視
■ スタンスと前後差
■ 基礎スキーヤーがモーグル的に滑るには
■ 吸収動作を長くキープ
■ モーグルのストックワーク (1)
■ モーグルのストックワーク (2)
■ モーグルのストックワーク (3)
■ スイッチバック
■ 背筋を伸ばす
■ 秘技!! スライド&ジャンプ
■ 吸収動作が必要なわけ
■ 吸収動作によるスピードアップ
■ 1つの動作で吸収と先落としをする
■ 吸収はヒザを意識する
■ 吸収動作による前後のバランスの調整
■ 吸収を行わない滑り方
■ 肩の逆ローテーション
■ ダブルストック
■ 縦の溝コブで減速
■ コブの溝でスキーをたわませる
■スキーの先落としと関節の動き
■吸収と伸ばしのタイミング
■ 足首の角度とポジションの関係
■ 左右非対称のコブとスライド
■ レベルによるストックワークの違い
■ スキーの先落しの角度とスピードコントロール
■ 静かなストックワーク
■ ボール状の凹みを通るライン
■ 外側の肩を下げる動きについて
■ スキーの縦の動きと練習について
■ コブ初心者 (1) どこを通る?
■ コブ初心者 (2) フォールライン方向にずらす
■ コブ初心者 (3) 上体をフォールライン方向にキープ
■ コブ初心者 (4) 脚のかまえ
■ コブ初心者 (5) それではコブを滑ってみよう・前編
■ コブ初心者 (6) それではコブを滑ってみよう・後編
■ コブ初心者 (7) スキー板と練習するコブ斜面
■ 春の巨大コブを省エネで滑る方法
■ 滑り方によって変化する谷回りと山回り
■ コブ中級者への道 (1) プロペラと逆ひねり
■ コブでおじぎを防ぐには
■ コブ中級者への道 (2) スライドする方向を変える
■ コブ中級者への道 (3) コブでスキーが開いちゃう
■ 上体を前に移動させる
■ コブ頂点のポジション
■ 基本ポジション
■ コブの滑り方で変わる前傾角度
■ 腰と下っ腹の意識
■ 先落としにトライしてみよう Part 1
■ 先落としにトライしてみよう Part 2
■ コブの衝撃に強いポジション Part 1
■ コブの衝撃に強いポジション Part 2
■ 腕の構え
■ コブで動きを止めない滑り Part1
■ コブで動きを止めない滑り Part2
■ ストックワークと腕の動き
■ コブに乗り上げていくところの脚の動き
■ コブを片足で滑ってみる
■ 重心とスキーの回転
■ パウダーとコブの共通点 Part 1
■ パウダーとコブの共通点 Part 2
■ スキーのたわみでコブから受ける衝撃をやわらげる
■ 負の連鎖 Part 1
■ 負の連鎖 Part 2
■ 負の連鎖 Part 3
■ 負の連鎖 Part 4
■ テールジャンプ Part 1
■ テールジャンプ Part 2
■ テールジャンプ Part 3
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