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スイッチバックというコブ初心者用のテクニックがあることは以前から知っていました。
ですが私の中では「何をいまさら...。」という思いがあり、あえてスイッチバックを使ってみようと思ったことはありませんでした。
◆スイッチバックの衝撃
「スイッチバックは使えるかも」と思ったのが先シーズンのある出来事でした。
その日はうちのかみさんと滑っていたのですが、彼女はその当時コブのラインから外れずに滑ることはできませんでした。ラインを考える以前に、コブのどこを滑ればいいかも分かっていないようでした。
「コブの頭で回して → 溝に落ちる → コブの頭で回す→ 溝に落ちる」と教えても、ほとんどコブのラインを無視した滑りで、それは、まるでコブ斜面をデラがけしているような感じでした。
それがガラリと変わったのは、このスイッチバックを覚えてからです。
場所は尾瀬岩鞍。 コブ斜面沿いのリフトに乗っていた時に、年配の方がスイッチバックでゆっくりですが確実にコブを滑っているのが目に入りました。
これならできるかもしれないと思い、早速スイッチバックをかみさんに試してもらいました。
ここで、なんと奇跡がおこったのです。何年かけてもできなかったコブのラインから外れずに滑るということが、初めてできたのです。
さらに驚くことが起こったのは、硬くしまったモーグルの直線的なライン。
硬くピッチの短いラインコブに、回しこんで滑る基礎スキーヤーが次々とコースアウトしてしまうなか、彼女はスイッチバックを駆使してコースアウトせずに完走してしまったのです!! スピードは超スローですが...(^_^;)
お、恐るべきスイッチバック...。
◆なぜスイッチバックが有効なのか?
まず、コブ初心者がコブのラインから外れてしまう原因を考えてみましょう。
最も大きな理由は、体がフォールラインに対して横に向いてしまうため、フォールラインに向かってスキーを縦にずらせないからだと思います。
コブ初心者は、上体がスキーと同じ方向に向いてしまっているため、スキーを回すと上体も横に向いてしまうのです。
上体がスキーと同じ方向に向いてしまうと、スキーが向いている方向にスキーは進んでしまいます。
そのため、コブの頭でスキーを横に回すと、次のコブとコブの間の溝に落ちるのではなく、ラインから外れてしまうのです。
一方、コブを上手くすべれる人は、コブの頭でスキーを回しても、上体が常に斜面の下を向いているため、スキーをフォールライン方向に縦ズレさせて、ラインを外さずに滑ることができるのです。
コブ初心者が上体を常に斜面の下に向けて滑れないのは、コブに対する恐怖心が一番の原因でしょう。コブからできるだけ上体を離すような体勢をとるため、自然と体がスキーと同じ方向に向いてしまうのです。
この上体を横に向けてしまうコブ初心者と、上体が常に斜面の下に正対しているコブ上級者の、ミゾを埋めるテクニックがスイッチバックです。
◆スイッチバックの方法
前置きが長くなってすみません。スイッチバックの説明です。
2. コブ初心者だと、ここでスキーを回すのと同時に上体もスキーと同じ方向に回ってしまいます。 上体がスキーと同じ方向に向いてしまったため、スキーはスキーが向いている方向に進もうとし、ラインから外れてしまいます。(矢印の方向に行っちゃダメ!)
3. ここで、そのまま前方に滑って行ってしまうとコブのラインから外れてしまうので、後ろにバックしてコブのラインに戻ります。
5.コブのラインに戻ったら、次のコブの頭で、スキーを横に回します。以下上記の繰り返しです。
◆使い方によっては上級者にも有用
前述のとおり、このスイッチバックはコブ初心者がラインから外れずに滑るのには最適なテクニックです。
さらに、使い方によっては既にコブが滑れる方にとっても、かなり有用なテクニックではないかと思います。
まず、朝早く、ピッチの短い縦のラインコブがまだカチカチに凍っている時に、最初の一本目のインスぺクション時にスイッチバックは使えます。
モーグルコースの直線的な溝コブがカチカチに凍っているとき、スキーを横にしてずらして減速することはなかななできないもんです。
でもそんな状況で、スイッチバックを使えば超スローで安全に滑ることができるからです。
また、このスイッチバックは、スキーのトップをずらす感覚を覚えるのにも適しています。 一般的に"ずらし" はスキーのテールを使いますが、スキーを回しすぎた際は、トップを使ってずらすケースがあります。 そのトップを使ってずらすことをオーバーアクションにして、覚えやすくしたのがこのスイッチバックです。
スイッチバックはコブをゆっくり安全に滑る技術ですが、スイッチバックでどのくらい速く滑れるかを試してみるのもおもしろいと思います。
まとめ: コブの初心者はスイッチバックでラインから外れずに滑ることを覚えよう。 既にコブを滑れる人も、状況によってはスイッチバックで滑ってみるのもいいのではないかと思います。
おわり
◆目次はこちら
コブの滑り方
コブの滑り方#1 脚は少し曲げておく
コブの滑り方#2 目線は重要
コブの滑り方#3 拇指球加重ではなく、かかと加重を重視する
コブの滑り方#4 スキーのスタンスと前後差について
コブの滑り方#5 基礎スキーヤーがモーグル的に滑るには
コブの滑り方#6 吸収動作を長くキープする
コブの滑り方#7 モーグルのストックワーク (1)
コブの滑り方#8 モーグルのストックワーク (2)
コブの滑り方#9 モーグルのストックワーク (3)
コブの滑り方#11 - 背筋を伸ばす
コブの滑り方#12 - 秘技、スライド&ジャンプ
コブの滑り方#13 - 吸収動作が必要なわけ
コブの滑り方#14 - 吸収動作によるスピードアップ
コブの滑り方#15 - 1つの動作で吸収と先落としをする
コブの滑り方#16 - 吸収はヒザを意識する
■ 目線は重要
■ かかと加重を重視
■ スタンスと前後差
■ 基礎スキーヤーがモーグル的に滑るには
■ 吸収動作を長くキープ
■ モーグルのストックワーク (1)
■ モーグルのストックワーク (2)
■ モーグルのストックワーク (3)
■ スイッチバック
■ 背筋を伸ばす
■ 秘技!! スライド&ジャンプ
■ 吸収動作が必要なわけ
■ 吸収動作によるスピードアップ
■ 1つの動作で吸収と先落としをする
■ 吸収はヒザを意識する
■ 吸収動作による前後のバランスの調整
■ 吸収を行わない滑り方
■ 肩の逆ローテーション
■ ダブルストック
■ 縦の溝コブで減速
■ コブの溝でスキーをたわませる
■スキーの先落としと関節の動き
■吸収と伸ばしのタイミング
■ 足首の角度とポジションの関係
■ 左右非対称のコブとスライド
■ レベルによるストックワークの違い
■ スキーの先落しの角度とスピードコントロール
■ 静かなストックワーク
■ ボール状の凹みを通るライン
■ 外側の肩を下げる動きについて
■ スキーの縦の動きと練習について
■ コブ初心者 (1) どこを通る?
■ コブ初心者 (2) フォールライン方向にずらす
■ コブ初心者 (3) 上体をフォールライン方向にキープ
■ コブ初心者 (4) 脚のかまえ
■ コブ初心者 (5) それではコブを滑ってみよう・前編
■ コブ初心者 (6) それではコブを滑ってみよう・後編
■ コブ初心者 (7) スキー板と練習するコブ斜面
■ 春の巨大コブを省エネで滑る方法
■ 滑り方によって変化する谷回りと山回り
■ コブ中級者への道 (1) プロペラと逆ひねり
■ コブでおじぎを防ぐには
■ コブ中級者への道 (2) スライドする方向を変える
■ コブ中級者への道 (3) コブでスキーが開いちゃう
■ 上体を前に移動させる
■ コブ頂点のポジション
■ 基本ポジション
■ コブの滑り方で変わる前傾角度
■ 腰と下っ腹の意識
■ 先落としにトライしてみよう Part 1
■ 先落としにトライしてみよう Part 2
■ コブの衝撃に強いポジション Part 1
■ コブの衝撃に強いポジション Part 2
■ 腕の構え
■ コブで動きを止めない滑り Part1
■ コブで動きを止めない滑り Part2
■ ストックワークと腕の動き
■ コブに乗り上げていくところの脚の動き
■ コブを片足で滑ってみる
■ 重心とスキーの回転
■ パウダーとコブの共通点 Part 1
■ パウダーとコブの共通点 Part 2
■ スキーのたわみでコブから受ける衝撃をやわらげる
■ 負の連鎖 Part 1
■ 負の連鎖 Part 2
■ 負の連鎖 Part 3
■ 負の連鎖 Part 4
■ テールジャンプ Part 1
■ テールジャンプ Part 2
■ テールジャンプ Part 3
■ スキー場の混雑を回避しよう
■ 今後のコブ斜面のトレンド
■ コブの滑り方はコブ斜面が教えてくれる
■ スキーはポジションしだいで大化けできる
■ シーズン別、積雪と雪質について
■ アフタースキー
■ スキーの動画撮影をしよう
■ 整地での練習の重要性
■ 日帰りで行くスキー場
■ スキーとお金について
■ スキー初すべりで考えること
■ コブを教えること。コブを教わること。
■ 石打丸山のナイター
■ 八海山スキー場
■ ノルン水上スキー場
■ 月山スキー場
■ ブランシュたかやまスキー場
■ 尾瀬岩鞍スキー場
■ 高畑スキー場
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